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上行大動脈は左心室の動脈口から心膜を出るまでの範囲を指す。
大動脈は左心室の前上端、胸骨の後方、第3肋間隙の高さから始まる。そこから右前上方に向かって進み、右の第2胸肋関節の高さでSinus maximus(最大洞)をもって終わる。この部分では動脈壁が右側に向かって胸骨縁を越えて側方に張り出し、卵形に膨らんでいる。ここが大動脈弓への移行部となる。3つの大動脈洞によって形成されるこの膨らんだ部分は大動脈球(Bulbus aortae)と呼ばれ、肺動脈の後方に位置する(RK633(心臓の血管:胸肋面) )。
**局所解剖:**上行大動脈は5~6cmの長さがあり、完全に心膜嚢内に存在する。肺動脈とともに心膜に包まれている(RK600(主要脈管系の分布概観図) )。その起始部は前方から肺動脈、側方から右心耳、後方から肺動脈の右枝に囲まれている。さらに上方では左側に肺動脈、右側に上大静脈が位置する。
前方と左側の大動脈洞から冠状動脈(Kranzarterien)が分岐する。この動脈は心臓壁に血液を供給し、栄養動脈としての役割を果たす。そのため、すべての器官の中で心臓が最初に血液供給を受ける。