https://funatoya.com/funatoka/Rauber-Kopsch.html
左冠状動脈は通常、右冠状動脈よりもやや太く、左大動脈洞から始まる。その後、肺動脈の左後方を前方に進み、肺動脈と左心耳の間に現れる。続いて心臓の前室間溝に至り、そこで回旋枝(Ramus circumflexus)と室間枝(Ramus interventricularis)に分岐する。
回旋枝は2枝のうち比較的細く、冠状溝内を横走して外側に向かい、後面に至って右冠状動脈の終枝付近に達する。室間枝はより太く、前室間溝内を心尖まで走行し、両側に枝を出して左右の心室と心室中隔に至る。また、左冠状動脈から小枝が心房、大動脈、肺動脈などに分布する。
心臓壁の動脈はうねった走行をしている。これは心臓の拡張(Diastole)や収縮(Systole)時に過度の伸展や圧迫を受けることを防ぐためである。左冠状動脈は左心室の前壁、右心室の相当部分、心室中隔の一部に血液を供給し、右冠状動脈は心室中隔の大部分、右心室、および刺激伝導系を栄養する(Domarus, S.174 Anm. より)。
臨床的に重要な問題の一つは、左右の冠状動脈が相互に連絡しているかどうかである。比較的太い吻合が表面、特に右心室と心尖の前面および中隔内に見られる。最も重要な吻合は左冠状動脈の回旋枝と右冠状動脈との間にあるが、その太さには個体差が大きい。
**変異:**時に1本の本幹のみが存在し、そこから左右の冠状動脈が分岐する。また、冠状動脈が3本存在することもあり、その場合、第3の動脈は通常、他の1本のすぐ近くから出ている。
Meckelは冠状動脈が4本あるケースを報告している。しばしば2本の冠状動脈のうち1本が優勢となり、通常は他方が分布する領域の一部をも栄養する。右冠状動脈の起始部は、右と左の半月弁の接合部よりも1.5cm上方にある(Adachi)。