耳輪棘 Spina helicis

解剖学的特徴

耳輪棘は、耳介軟骨の前縁に位置する小さな突起で、耳輪脚から前方に下降した尖った結節状構造です(Standring, 2015)。解剖学的には、長さ約2〜4mmの三角形あるいは棘状の突起として認められます。この構造は耳介軟骨の一部であり、側頭筋膜と直接連結しています(Moore et al., 2018)。

発生学と組織学

発生学的には、第一鰓弓由来の軟骨組織から発達し、生後早期から明確に認識できる構造となります(Schoenwolf et al., 2014)。組織学的には主に弾性軟骨から構成され、周囲は軟骨膜に覆われています(Ross and Pawlina, 2016)。

臨床的意義

臨床的意義として、耳輪棘は側頭部の手術的アプローチにおける解剖学的指標となります。特に顔面神経の側頭枝は耳輪棘の約1cm前方を通過するため、形成外科や耳鼻科領域の手術において重要な目印となります(Rohrich et al., 2017)。また、耳介形成術や耳介再建術においても重要な参照点として利用されます。時に耳輪棘の過形成や副耳(耳前瘻孔)が発生することがあり、これらは胎生期の発達異常に起因します(Weerda, 2007)。

参考文献

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J1022 (右の外耳:内側からの図)

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J1023 (右耳の軟骨とその骨との接続:前面から少し外側からの図)

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J1024 (孤立した右耳介軟骨:外側からの図)