内側上腕皮神経 Nervus cutaneus brachii medialis

J0574 (右腋窩の動脈、正面図)

J0929 (右側の頚神経叢と腕神経叢:模式図)

J0934 (右の腕神経叢(鎖骨下部)が下から前に向かっている図)

J0935 (右上腕の表面神経:前方からの図)

J0937 (右上腕の皮神経、外側後方からの図)

J0939 (右上腕の神経幹:内側からの図)

J0949 (右腕の皮神経の支配領域:前面からの図)

J0950 (右腕の皮神経の支配領域:背面からの図)

J0954 (体幹の皮神経:正面右側からの図)
1. 基本的特徴と解剖学的走行
内側上腕皮神経(Nervus cutaneus brachii medialis)は、上腕の内側領域の皮膚感覚を支配する重要な知覚神経です。以下の基本的特徴を有します (Drake et al., 2020):
- 起始:腕神経叢の内側神経束から発生し、第8頚神経(C8)および第1胸神経(T1)の成分を含みます。
- 走行経路:腋窩静脈の深層を通過し、上腕内側から後面へと走行します。
- 支配領域:上腕内側から後面の皮膚を支配し、多くの症例(77%)では肘頭を超えて前腕近位後面まで分布します (Standring, 2021)。
2. 神経の変異と交通枝
本神経には、以下のような特徴的な変異と交通枝が認められます (Moore et al., 2019):
- 肋間上腕神経との関係:第2または第3肋間神経の外側皮枝と交通し、肋間上腕神経を形成することがあります。
- 高頻度な吻合:肋間上腕神経の後枝との吻合(84–88%)が特徴的です。
- 他の神経との交通:橈骨神経の後上腕皮神経との吻合(8–11%)も報告されています。
- 発生学的変異:肋間上腕神経後枝と後上腕皮神経が発達した場合、本神経が欠如する可能性があります (Netter, 2019)。
3. 臨床的意義
内側上腕皮神経は、以下の臨床的観点から重要性を持ちます (Sinnatamby, 2018):
- 手術リスク:腋窩部の手術、特に腋窩リンパ節生検や乳癌手術時における神経損傷に注意が必要です。
- 神経障害:損傷時には上腕内側部の感覚障害が生じ、患者のQOLに影響を与える可能性があります。
- 医療従事者の理解:解剖学的走行と変異パターンの理解が、安全な医療行為に不可欠です。
4. 診断的アプローチ
本神経の診断的価値は以下の点にあります (Chung, 2022):