歯状回 Gyrus dentatus
基本構造
- 海馬を構成する2つの脳回の1つであり、歯状の形態を特徴とする (Amaral et al., 2007)。
- 海馬溝の深部で海馬の分子層と連続しており、3層構造(分子層、顆粒層、多形細胞層)を持つ (Förster et al., 2006)。
解剖学的位置
- 小帯回の下方から海馬と海馬傍回の間を通り、鈎の内側面まで至る弓状の回である (Duvernoy, 2005)。
神経回路
- 嗅内皮質からの貫通線維が、主な入力経路となっている (Witter, 2007)。
- 顆粒細胞は、苔状線維を介してCA3領域と接続している (Toni et al., 2008)。
特殊性と機能
- 成体脳においても、継続的に神経新生が起こる特殊な領域である (Gage, 2000)。
- 環境刺激や学習により、神経新生が促進される (Kempermann et al., 2015)。
- 記憶形成や空間認知などの重要な機能に関与している (Kesner, 2013)。
臨床的意義
- アルツハイマー病などの神経変性疾患において、早期に影響を受ける領域の一つである (Mu and Gage, 2011)。
- てんかんにおいて、異常な神経回路の形成や神経細胞の異常興奮が観察される (Parent et al., 2006)。
- うつ病やストレス関連障害において、神経新生の低下が報告されている (Dranovsky and Hen, 2006)。
発生学的特徴
- 海馬原基から発生し、胎生期に特徴的な形態形成を経て成熟する (Urbán and Guillemot, 2014)。
- 生後も神経幹細胞を維持し、顆粒細胞の産生を継続する (Nicola et al., 2015)。