大腿深静脈 Vena profunda femoris

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J0628 (右大腿静脈、腹側からの図)

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J0629 (右大腿の深部静脈:背面図)

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J0632 (右下腿の表面静脈、背面からの図)

解剖学的概要

大腿深静脈(深大腿静脈)は、大腿深動脈に伴行する主要な深部静脈です(Moore et al., 2018; Standring, 2020)。大腿深動脈の分布領域、すなわち大腿部の深層筋群(大腿四頭筋、内転筋群、ハムストリングス)から静脈血を集め、大腿静脈の後内側に合流します(Lippert, 2017)。合流部は通常、大腿深動脈の起始部から約4-6cm遠位に位置します(Netter, 2018)。

主要な流入枝

大腿深静脈に流入する主要な枝として以下があります(Standring, 2020; Moore et al., 2018):

これらの静脈はすべて同名の動脈に伴行し、通常1-2本の静脈が各動脈に随伴します(Netter, 2018)。

臨床的意義

深部静脈血栓症(DVT):大腿深静脈は深部静脈血栓症の好発部位の一つです(Di Nisio et al., 2016)。血栓が形成されると、大腿静脈本幹への進展や肺塞栓症のリスクがあります(Kearon et al., 2016)。大腿部の腫脹、疼痛、Homans徴候陽性などが診断の手がかりとなります(Bates et al., 2012)。

外傷:大腿部の深部外傷(刺創、銃創、骨折)により損傷される可能性があり、大量出血や仮性動脈瘤形成のリスクがあります(Feliciano et al., 2017)。

静脈造影・カテーテル検査:下肢静脈造影や血管内治療の際、大腿深静脈の解剖学的理解が重要です(Cronenwett & Johnston, 2019)。

筋膜コンパートメント症候群:大腿部のコンパートメント症候群では、大腿深静脈の圧迫により静脈還流障害が生じ、症状が増悪する可能性があります(von Keudell et al., 2015)。

画像診断

超音波検査では、大腿深静脈は大腿動脈と大腿静脈の間の深層に描出されます(Needleman et al., 2018)。CTやMRIでは、造影剤投与により明瞭に描出され、血栓の有無や解剖学的変異の評価が可能です(Rajiah et al., 2016)。

参考文献