腓腹動脈 Arteriae surales

J0600 (右大腿の動脈、背面図)

J0601 (右下腿の動脈:背側からの図)
腓腹動脈は、膝窩動脈から分岐する下肢後面の重要な血管で、下腿の筋群および皮膚への主要な血液供給源として機能します(Standring, 2020)。
解剖学的特徴
起始と走行
- 膝窩動脈から内側腓腹動脈(arteria suralis medialis)と外側腓腹動脈(arteria suralis lateralis)の2本の太い枝として分岐します(Gray & Goss, 1973)。
- 内側腓腹動脈は腓腹筋内側頭の深層を下行し、外側腓腹動脈は腓腹筋外側頭の深層を走行します(Moore et al., 2017)。
- 両動脈は腓腹筋の両頭間を下行し、下腿後面の浅層および深層に分布します(Netter, 2018)。
分布領域
- 主要な栄養対象:腓腹筋(gastrocnemius)、ヒラメ筋(soleus)、足底筋(plantaris)(Standring, 2020)
- 筋枝は各筋の筋腹内に進入し、筋組織への酸素と栄養を供給します(Moore et al., 2017)。
- 皮枝は筋間を貫通して下腿後面の皮膚に達し、皮膚および皮下組織に分布します(Lippert, 2011)。
- 腓腹神経(sural nerve)に伴走する枝があり、神経への栄養血管(vasa nervorum)としても機能します(Standring, 2020)。
吻合と側副循環
- 膝関節周囲の動脈網(膝関節動脈網)と吻合し、側副血行路を形成します(Moore et al., 2017)。
- 下行膝動脈、上内側膝動脈、上外側膝動脈などと連絡します(Netter, 2018)。
- 後脛骨動脈および腓骨動脈の筋枝とも吻合し、下腿後面の血行を補完します(Gray & Goss, 1973)。
臨床的意義
外科的考慮事項
- 下腿後面の手術(特に腓腹筋皮弁採取)において、腓腹動脈の温存が重要です(Mathes & Nahai, 1981)。