膝窩動脈は、下肢の主要な動脈の一つで、以下の特徴を持ちます:
膝窩動脈は、膝関節周辺の血液供給において重要な役割を果たしています。その分枝パターンには様々な変異が報告されており、これらの変異は臨床的に重要な意味を持つ可能性があります。
「日本人のからだ」(村上 弦 2000)によれば、
膝窩動脈の分枝形態については、Adachi (1928 b)以降多くの検討が行われています。ここでは大腿三角とは異なり、分岐する高さが分類の重要な基準となっています。まれな例を含めると分類は多岐に及びますが、一般的に性差や左右差はありません。動脈の分岐様式だけに注目すると、5型に分類されています(金子ら、1983) (図87)。
膝窩動脈は通常、腓腹筋の外側頭と内側頭の間から同筋の前方に下行します。しかし、稀に内側頭の内側から同頭の前方に迂回する例がみられ、筋による圧迫を受けて循環障害として発見されます(稲田ら、1972)。また、下腿上部における後脛骨血管の先天的な動静脈瘻が1例報告されています(依藤ら、1982)。
図87 膝窩動脈の分岐型(金子ら, 1983)
数値は(Adachi, 1928 b ; 金子ら, 1983)の順に示されています。
I型: 前脛骨動脈が膝窩筋の下方で膝窩動脈から分岐します(97.3% ; 96.3%)。