上腸間膜動脈
上腸間膜動脈は、以下のような特徴を持つ重要な腹部の動脈です:
- 腹腔動脈の約1~2cm下方(第1腰椎の高さ)で前方に出現します。
- 膵臓の後方を通り、膵頭の左側に沿って十二指腸水平部の前面を下行し、小腸間膜に入ります。
- 小腸間膜内では、左側にやや凸のカーブを描きながら右腸骨窩に向かって下行します。
- 主な分枝として、下膵十二指腸動脈、空腸動脈、回腸動脈、回結腸動脈、虫垂動脈、右結腸動脈、中結腸動脈があります。
- 上膵十二指腸動脈および左結腸動脈と吻合します。
また、解剖学的変異として:
- 成人の約16.4%では、上腸間膜動脈がその起始部で右肝動脈、腹腔動脈、あるいは腹腔動脈を構成する動脈を分岐することがあります。
- 上腸間膜動脈と下腸間膜動脈の間に吻合(SM-IM吻合)が存在することがあり、その頻度は約5~6%です。
上腸間膜動脈は腹部消化器系の血液供給において重要な役割を果たしており、その変異や吻合関係は臨床的にも重要な意味を持ちます。
J0586 (男性の腹部大動脈:腹面図)
J0587 (腹部内臓最深層の動脈:腹面図)
J0588 (腹部内臓表層の動脈:前面からの図)
J0589 (前腸間膜動脈の枝:腹面図)