外頚動脈 Arteria carotis externa

内頚動脈、椎骨動脈の起始と走行

J0557 (頚部浅層の動脈:右前方からの図)

J0558 (喉頭と舌の動脈:右側からの図)

J0561 (顔の深部動脈:右側からの図)

J0564 (頚深部の動脈、右方からの図)

J0763 (甲状腺、近隣の臓器に対する位置:背面からの図)

J0913 (下顎神経の分岐、深層:右方からの図)

J0914 (耳神経節:内側からの図)

J0919 (右側の舌神経:右方からの図)
外頚動脈は、頭頸部領域の血液供給において極めて重要な動脈です (Gray and Lewis, 2021)。その解剖学的特徴と臨床的意義について以下に詳述します:
解剖学的特徴
- 起始:総頚動脈から分岐し、通常C3-4椎体レベルの甲状軟骨上縁の高さで始まります (Standring, 2023)。この位置は頚動脈小体が存在する重要な解剖学的指標となります。
- 走行:
- 初めは内頚動脈の前内側に位置し、徐々に後外側へ移動します
- 顎二腹筋後腹と茎突舌骨筋の間(茎突舌骨筋トンネル)を通過
- 耳下腺実質内を上行し、下顎後窩に入ります
- 終末:下顎頚の高さで終末枝である顎動脈(深部組織への供給)と浅側頭動脈(表層組織への供給)に分岐します (Moore et al., 2022)
主要分枝と支配領域
外頚動脈からは8つの主要な枝が分岐し、それぞれ重要な領域を支配します (Netter, 2023):
- 前枝群:
- 上甲状腺動脈:甲状腺、喉頭、頚部の前面を栄養
- 舌動脈:舌筋群と口腔底を栄養。舌癌の手術時に重要
- 顔面動脈:顔面の表層組織を広く栄養。美容外科で重要
- 後枝群:
- 後頭動脈:後頭部の皮膚と深部筋を栄養
- 後耳介動脈:外耳と周囲組織を栄養
- 終末枝:
- 顎動脈:咀嚼筋、上顎歯、硬膜などの深部組織を栄養
- 浅側頭動脈:側頭部の皮膚、帽状腱膜を栄養
臨床的意義
外頚動脈は以下の臨床的場面で重要となります (Rohen et al., 2021):
- 頭頸部癌の手術における重要な指標血管です
- 脳血管内治療における動脈塞栓術のアプローチ経路として利用されます
- 頭頸部の外傷や手術時の出血源となり得るため、その走行と分枝の理解が不可欠です
解剖学的変異として、茎突舌骨筋との位置関係によりI型(標準型:茎突舌骨筋の内側)、II型(外側)、III型(貫通)の3型に分類されます (Ozgur et al., 2022)。この変異の理解は手術時のアプローチ方法の選択に影響を与えます。
参考文献
- Gray, H. and Lewis, W.H., 2021. Gray's Anatomy, 42nd ed. Elsevier. - 解剖学の最も権威ある包括的な教科書で、詳細な解剖学的記述と豊富な図版が特徴です。外頚動脈の解剖学的バリエーションについても詳述されています。