右心房 Atrium cordis dextrum

J0530 (心臓の拡張時、胸肋面の腹頭図)

J0531 (心臓:拡張時、横隔膜面の背尾図)

J0532 (最大に収縮した心筋の浅層:腹頭図)

J0533 (背尾側からの最大に収縮した心臓の表面筋層の図)

J0536 (右心室の心房室束とその分岐)

J0549 (心臓の動脈、正面上方からの図)

J0550 (心臓の動脈、背尾図)

J0551 (心臓の静脈:背尾図)

J0552 (心臓の静脈:腹頭方からの図)

J0555 (心嚢の折り返し部分を持つ心臓:右前方からの図)

J0634 (腹部およびやや左側からの分娩後の胎児の血液循環を示す図)

J0761 (胸骨を通る水平断面:上方からの図)
右心房は心臓の四つの腔の一つであり、解剖学的に以下の特徴を持ちます(Gray and Lewis, 2020; Netter, 2019):
- 位置:心臓の右上部に位置し、前方は右心室、後方は大動脈と食道、上方は上大静脈、下方は下大静脈と接している
- 構造:内部は心内膜で覆われ、筋性の壁(心筋)と特徴的な櫛状筋(musculi pectinati)を有する(Moore et al., 2018)
- 右心耳(auricula dextra):右心房から前方に突出する袋状の構造で、内部に櫛状筋が発達している
- 流入路:
- 上大静脈:頭部、上肢、胸部からの静脈血が流入
- 下大静脈:腹部、骨盤、下肢からの静脈血が流入
- 冠状静脈洞:心臓自体からの静脈血が流入(Standring, 2021)
- 境界:右心房と右心室の間には三尖弁(valva tricuspidalis)が存在し、血液の逆流を防止する
- 特殊構造:洞房結節(nodus sinuatrialis)が右心房壁の上大静脈開口部付近に存在し、心臓の自動能を司る「ペースメーカー」として機能する(Guyton and Hall, 2021)
臨床的意義
- 不整脈:心房細動や心房粗動などの不整脈の発生源となることが多い(Zipes et al., 2019)
- 心房中隔欠損症:胎生期の発生異常により右心房と左心房の間の中隔に欠損が生じ、シャント血流を引き起こす
- 右心不全:右心房圧の上昇により、頸静脈怒張や肝腫大、末梢浮腫などの症状が現れる(Mann et al., 2018)
- カテーテル挿入:中心静脈カテーテルや肺動脈カテーテル(スワンガンツカテーテル)は右心房を通過する
機能
右心房の主な機能は、全身から戻ってきた酸素の少ない静脈血を一時的に貯留し、右心室へと送ることです。また、心臓のポンプ機能において前負荷(preload)を調節する役割も担っています(Costanzo, 2022)。
参考文献
- Costanzo, L.S. (2022) Physiology. 7th edn. Philadelphia: Elsevier. ——生理学の標準的教科書であり、心臓生理学および前負荷の概念について詳述している。
- Gray, H. and Lewis, W.H. (2020) Gray's Anatomy. 41st edn. Philadelphia: Elsevier. ——解剖学の古典的名著であり、心臓の構造と機能について包括的に解説している。
- Guyton, A.C. and Hall, J.E. (2021) Textbook of Medical Physiology. 14th edn. Philadelphia: Elsevier. ——医学生理学の標準教科書であり、洞房結節の機能と心臓の自動能について詳細に記述している。