精嚢;精嚢腺

精嚢は精管膨大部のすぐ下方に位置する嚢状性器官であり、精管から外側上方に膨出します。膀胱底の後壁と直腸の間にあり、精管膨大部の外側にあります。その長さは約3cm、重さは約2gで、小指頭大です。精嚢は男性ホルモンに依存して発達し、思春期にホルモン活性が高くなるとともに発達します。長い間、精子を貯蔵するための器官と考えられてきましたが、正常では精子を貯える機能はありません。老化に伴いホルモン産生が減退すると、精嚢は萎縮します。精嚢は腺であり、導管は前立腺のすぐ上方で精管に合流します。

日本人のからだ(村上 弦 2000)によると

精嚢の変異

先天性単腎症の175例中8例で精嚢の異常が見られ、そのうち2例は欠損状態でした(川野, 1964)。また、守殿ら(1972)は28歳の男性不妊症例で、左精管欠損と右陰嚢内に腫瘍として精嚢が存在する1例を報告しています。

異所性陰嚢

会陰部副陰嚢については、5件の報告があります。野口ら(1984)の報告では、通常の陰嚢の左後方に副陰嚢があり、その皮下には平滑筋組織が豊富な肉質の膜が見られ、陰嚢縫線は副陰嚢の右縁を通じて肛門へと向かいます。また、陰茎前位陰嚢については51件の報告があり、そのうち58.2%が尿道下裂を伴っています(鳥居ら,1988)。異所性陰嚢分離症では、片側または両側の陰嚢が鼠径部や大腿部などに形成され、ヘルニアのような外観を呈します。多くの場合、精巣は異所性陰嚢内に存在します(桜井ら, 1974 ; 佐長・小宮, 1976)。