腹膜垂 Appendices omentales

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J0725 (盲腸の腹膜窩:前方からの図)

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J0726 (S状結腸間陥凹:前下方からの図)

腹膜垂は、大網ヒモ(tenia omentalis)と自由ヒモ(tenia libera)の間に位置する、結腸(特に横行結腸とS状結腸)に特徴的な黄色の葉状構造です。これらは脂肪に富む突起物であり、通常0.5〜5cmの大きさを呈します(Standring, 2020)。各腹膜垂は小血管を含む茎によって結腸壁に付着しています。

組織学的には、腹膜垂は漿膜中皮の下層に脂肪細胞が局所的に集積することによって形成される構造です(Moore et al., 2018)。腹膜垂の数と大きさには顕著な個人差が認められ、加齢とともに数が増加する傾向があります。また、肥満者では腹膜垂が増大することが知られています(Gray and Standring, 2015)。

臨床的意義

腹膜垂は臨床的にいくつかの重要な意義を持ちます。最も重要なものの一つは、腹膜垂の捻転による急性腹症の発症です。この病態は腹膜垂炎(epiploic appendagitis)として知られ、急性腹痛の原因となります(Sand et al., 2012)。

また、腹膜垂内に石灰化が生じることがあり、これはX線検査で偶発的に発見されることがあります(Giudicelli et al., 2000)。さらに、腹腔鏡手術の際には、腹膜垂が術野を遮ることがあるため、外科医にとって重要な解剖学的ランドマークとなります(Netter, 2018)。

参考文献

東洋医学における腹膜垂の意義