耳下腺

耳下腺は、ヒトの最大の唾液腺であり、以下のような特徴を持っています:

耳下腺の名称は、ギリシャ語の「para(傍)」と「otis(耳)」の複合語に由来し、「耳の傍らにあるもの」を意味します。

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J0409 (口領域の深層筋、少し右方からの図)

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J0559 (顔面表層の動脈:右側からの図)

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J0610 (顔の表在静脈:右側からの図)

日本人のからだ(島田和幸 2000)によると

大唾液腺の中で最大の腺は、浅部が耳介の前を占める大部分で、深部は下顎枝後縁からその後方までの部分です。形態には個体差が大きいと多くの報告で指摘されています (石島,1958 a; 塚本,1959; 藤ら,1984; Toh et al., 1993)。通常、腺は不規則な三角形または四角形を示し、周囲は厚い筋膜(耳下腺筋膜)に包まれています。この筋膜は耳下腺内に深く入り込み、腺を小葉に分けています。

位置については、上縁が頬骨、下縁が下顎骨の下縁、前縁が咬筋の一部を覆い、後方は乳様突起、胸鎖乳突筋、茎状突起に起始する筋に接触するとされています。

石島(1958 a)は耳下腺とその周囲の組織の位置関係について調査しており、後方部で胸鎖乳突筋と接するものは57.0%、筋上に延長するものは39.2%、接しないものは3.8%であるとしています。前縁部と咬筋との関係では、前縁部上半分では咬筋を覆う比率は1/3が最も多く17.3%、次に1/4が16.0%、1/2が14.7%であるとしています。前縁部下半部では1/5が最も多く41.3%、次に1/4が26.3%、1/5以下が21.3%であるとしています。

耳下腺前縁は耳下腺管に沿って前方に延長することが報告されており、これは小川(1918)によって前突起と定義されています。この前突起の出現率について、石島(1958 a)は日本人152例を調査し、48.7%に見られたと報告しています。また、耳下腺本体とは別に耳下腺管の周辺に存在する小型の腺群、つまり小川(1918)によって定義された副耳下腺が存在することもあります。