口腔

口腔は上唇と下唇が閉じることができる入口で、口裂から始まり、後方は咽頭に続きます。これは消化器系の起始部です。口腔は咀嚼や発語などの機能に関わり、頬袋のある動物では食物を一時的に貯めます。口腔内には歯や舌があり、さまざまな大きさの唾液腺が開口します。

口腔は口腔前庭と固有口腔に分けられます。口腔前庭は上下の歯列弓より外側にあり、頬と唇が外壁を形成します。頬と唇は哺乳類において初めて形成され、口腔前庭が成立し、咀嚼や哺乳が可能となりました。頬には筋肉、頬脂肪体、頬腺などが含まれています。通常、唇の内側には口輪筋のような筋肉や口唇腺などが含まれています。上下唇が左右の口角を囲み、上下唇の移行部を唇交連と呼びます。

固有口腔の前・側壁は歯列弓(歯槽突起)によって形成され、天井は口蓋、底は顎舌骨筋とオトガイ舌骨筋の上の粘膜となっています。口腔の壁を覆う粘膜は口腔粘膜で、腺は発生上、粘膜上皮に由来します。口腔前庭には耳下腺、頬腺、臼歯腺、口唇腺が開口し、固有口腔には顎下腺、舌下腺、口蓋腺、舌腺が開口します。

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J0639 (頭頚部の正中矢状断:左側からの右半分の図)

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J0640 (頭部の前頭断、後方からの図)