横頭(母趾内転筋の)Caput transversum (Musculus adductor hallucis)
母趾内転筋の横頭は、母趾内転筋の二つの頭(横頭と斜頭)のうちの一つです。足の深層筋の一部として足部の機能的解剖学において重要な役割を果たしています(Oatis, 2016)。

J0275 (右足の骨:足筋の起こる所と着く所を示す足底側の図)

J0519 (右足の足底の筋(第3層))

J0968 (右足底の深部神経、下方からの図)
解剖学的特徴:
起始:
- 第2〜第5中足骨頭の足底部および第2〜第5趾の中足指節関節(MTP関節)の関節包から筋線維が扇状に広がって起始します(Moore et al., 2018)。
- 一部の線維は足底の深横中足靭帯からも起始します。
停止:
- 筋線維は内側に向かって収束し、外側種子骨と母趾の基節の底(基底)部外側面に停止します(Standring, 2020)。
- 斜頭と合流して共通腱を形成することもあります。
支配神経:
- 外側足底神経(脛骨神経の分枝、S2-S3)が支配しています(Drake et al., 2019)。
血液供養:
- 主に外側足底動脈からの分枝により栄養されています。
機能と臨床的意義:
機能:
- 母趾の内転(足の中心軸に向かって動かす)を担います(Neumann, 2017)。
- 足横アーチ(transverse arch)の維持に重要な役割を果たし、中足骨頭を互いに引き寄せることで足部の安定性に貢献します。
- 歩行時の蹴り出し(push-off)相で足部の安定化を補助します。
- 立位時の足部の荷重分散において重要な役割を担い、特に前足部での体重支持に貢献します(Wong, 2007)。