短橈側手根伸筋

短橈側手根伸筋は、前腕の伸筋群に属する筋肉です。主な特徴は以下の通りです:

短橈側手根伸筋の腱は、長橈側手根伸筋の腱とともに長母指外転筋と短母指外転筋の筋腹を交差し、伸筋支帯下の第2腱区画を通過します。

この筋肉には様々な変異が見られます。例えば、筋や腱が分裂して束を形成したり、長橈側手根伸筋と部分的または完全に融合したりすることがあります。特に珍しい変異として、長橈側手根伸筋と短橈側手根伸筋の間に、第1中手骨に停止する「副橈側手根伸筋」が存在する場合があります。

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J0175 (右上腕骨とその筋の起こる所と着く所:前方からの図)

J0176 (右上腕骨と筋の起こる所と着く所:後方からの図)

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J0184 (右前腕骨:筋の起こる所と着く所:回外位の手の裏側からの図)

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J0206 (右の手骨:および筋の起こる所と着く所を示すの背面からの図)

日本人のからだ(本間敏彦 2000)によると

長橈側手根伸筋は、上腕骨の外側縁と外側上腕筋間中隔の下から始まり、第2中手骨の底部に終わります。筋の上側縁は腕橈骨筋に覆われ、外側上顆で外側に曲がり、短橈側手根伸筋の近位部を覆います。短橈側手根伸筋は、外側上顆、橈骨輪状靱帯、総指伸筋と本筋を分ける結合組織中隔から始まります。この筋の短い腱は、第3中手骨の茎状突起に接続します。

長橈側手根伸筋と短橈側手根伸筋の腱は、橈骨の外側縁を下方に進み、長母指外転筋と短母指外転筋の筋腹を交差し、伸筋支帯の下の第2腱区画を通ります。長橈側手根伸筋は腕橈骨筋起始部下端の上腕骨外側縁から、短橈側手根伸筋は外側上顆から連続して始まり、前者は第2指中手骨底に、後者は第3指中手骨底に停止します。

両筋に見られる変異は、筋や腱が分裂して束を作り、その束が互いの終端部に終わるか、あるいは束同士が結合する(井上、1934; 石見、1951 b; Kosugi et al., 1987 a,b, 1989; Yoshida, 1994)。さらに、両筋の筋腹が部分的に結合したり、完全に結合したりする変異も見られ、これは両筋が近い関係にあることを示しています(石見、1951 b)。特異な変異としては、両筋の間に挟まれ、第1中手骨に終止する独立した「副橈側手根伸筋」M. extensor carpi radialis accessoriusが存在します(小杉ら、1985 c)。