外側頭(上腕三頭筋の)Caput laterale (Musculus triceps brachii)

J0176 (右上腕骨と筋の起こる所と着く所:後方からの図)

J0427 (広頚筋を除去した後の右胸部の筋:腹側図)

J0429 (右の胸筋(第2層)、正面からの図)

J0461 (右上腕の筋:橈側からの図)

J0468 (右上腕の筋:背面図)

J0469 (右上腕の筋:背面図)

J0470 (右上腕の筋(深層):背面図)

J0575 (右肩甲骨の動脈:背面図)

J0577 (右上腕の動脈、背面からの図)

J0947 (右上腕の筋神経:後方からの図)
上腕三頭筋の外側頭は、上腕三頭筋を構成する3つの頭(長頭、内側頭、外側頭)の1つであり、解剖学的および臨床的に重要な筋肉です(Standring, 2020)。以下にその詳細を説明します。
解剖学的特徴
起始と停止
- **起始部:**上腕骨後面の外側上顆上稜(lateral supracondylar ridge)の上部2/3、および上腕骨後面の外側筋間中隔から起始する(Moore et al., 2018)。起始部は上腕骨体の後外側面に広く分布し、橈骨神経溝(spiral groove)の外側および上方に位置する(Standring, 2020)。
- **停止部:**尺骨肘頭(olecranon process)の後面および外側面に停止する(Netter, 2019)。停止部では、上腕三頭筋の3つの頭すべてが共通腱を形成し、肘頭に付着する(Drake et al., 2020)。
神経支配
外側頭は橈骨神経(radial nerve、C7-C8神経根由来)によって支配される(Schünke et al., 2015)。橈骨神経は上腕骨の橈骨神経溝を走行する際に、外側頭への筋枝を分岐させる。この解剖学的関係は、上腕骨骨幹部骨折時の神経損傷リスクを理解する上で重要である(Moore et al., 2018)。
血液供給
外側頭への主要な血液供給は、深腕動脈(deep brachial artery、上腕深動脈 profunda brachii artery とも呼ばれる)から行われる(Drake et al., 2020)。深腕動脈は上腕動脈から分岐し、橈骨神経とともに橈骨神経溝を走行しながら、外側頭に栄養を供給する複数の筋枝を分岐する(Standring, 2020)。副次的な血液供給として、上尺側側副動脈(superior ulnar collateral artery)や中側副動脈(middle collateral artery)からの枝も関与する(Netter, 2019)。
筋肉の構造と線維配列
外側頭の筋線維は羽状筋(pennate muscle)の構造を示し、中央腱膜に対して斜めに配列している(Neumann, 2017)。この羽状構造により、筋肉の生理学的断面積が増大し、より大きな力を発生することが可能となる。筋線維の配列角度は約15-20度であり、これは力の伝達効率と可動域のバランスを最適化している(Lieber & Fridén, 2019)。
機能解剖学
主要機能
- **肘関節の伸展:**外側頭の主要機能は肘関節の伸展である(Neumann, 2017)。長頭とは異なり、外側頭は単関節筋(monoarticular muscle)であるため、肩関節の位置に関わらず肘関節伸展に一定の寄与を示す。この特性により、肩関節が屈曲位にあっても効率的に肘関節伸展が可能となる(Hislop et al., 2014)。
- **協調運動:**上腕三頭筋の他の頭(長頭、内側頭)と協調して働き、肘関節の伸展力を最大化する。筋電図研究によれば、外側頭は肘関節伸展の中間域から最終域において特に活発に活動する(Murray et al., 2000)。
- **関節安定性:**肘関節の動的安定化に寄与し、特に肘関節伸展位での外反ストレスに対する抵抗に重要な役割を果たす(Andrews et al., 2017)。
バイオメカニクス
外側頭は肘関節伸展において最大トルクの約30-35%を担う(残りは長頭が約45-50%、内側頭が約20-25%を担う)(Neumann, 2017)。モーメントアーム(moment arm)は肘関節の角度によって変化し、肘関節90度屈曲位で最大となる。これにより、機能的な中間域での力発揮が最適化されている(Murray et al., 2000)。