









上腕二頭筋の長頭は、上肢の解剖学的構造および臨床的に極めて重要な筋肉の一部です。以下に、解剖学的特徴と臨床的意義について詳細に説明します。
上腕二頭筋の長頭は、肩甲骨の関節上結節(tuberculum supraglenoidale)から起始します(Moore et al., 2018)。この起始部は上方関節唇(superior labrum)に密接に関連しており、関節包の一部として発生します。長頭腱は関節内構造として関節腔内を通過する特殊な解剖学的配置を持ち、この特徴が様々な病態の発生に関与します(Nuelle et al., 2016)。
長頭腱は肩関節腔内を通過した後、上腕骨頭の前上方を越えて下行します。上腕骨の結節間溝(sulcus intertubercularis、別名:二頭筋溝)を通過する際、腱は結節間滑膜鞘(vagina synovialis intertubercularis)に包まれています(Standring, 2020)。この滑膜鞘は肩関節腔の滑膜の延長であり、腱の滑動を助ける重要な役割を果たします。結節間溝では、横上腕靱帯(ligamentum transversum humeri)が腱を溝内に保持しています。その後、腱は筋腹に移行し、上腕の中央部で短頭と合流して単一の筋腹を形成します。
上腕二頭筋の共通腱は主に橈骨粗面(tuberositas radii)に停止します(Netter, 2019)。さらに、二頭筋腱膜(aponeurosis musculi bicipitis brachii)と呼ばれる扁平な腱膜構造を介して、尺側の前腕筋膜にも広く停止します。この二重の停止構造により、肘関節の屈曲と前腕の回外運動の両方に効率的に力を伝達することができます。
上腕二頭筋は筋皮神経(nervus musculocutaneus、C5-C6)により支配されています(Drake et al., 2019)。筋皮神経は腕神経叢の外側神経束から分岐し、烏口腕筋を貫通した後、上腕二頭筋の深層を走行しながら筋枝を送ります。
上腕二頭筋への血液供給は主に上腕動脈(arteria brachialis)の筋枝から行われます(Standring, 2020)。特に、上腕深動脈(arteria profunda brachii)からの分枝や、前上腕回旋動脈(arteria circumflexa humeri anterior)からの分枝が長頭腱の近位部に血液を供給します。腱の関節内部分は血管分布が乏しく、この解剖学的特徴が変性や修復過程に影響を与えます。
上腕二頭筋の長頭は、以下の複数の機能を担っています: