大円筋

大円筋は、上肢の重要な筋の一つです。以下にその主な特徴をまとめます:

さらに、大円筋の腱下には大円筋の腱下包という滑液包が存在し、筋の動きをスムーズにします。

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J0164 (右肩甲骨、筋の起こる所と着く所:前面からの図)

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J0175 (右上腕骨とその筋の起こる所と着く所:前方からの図)

J0176 (右上腕骨と筋の起こる所と着く所:後方からの図)

日本人のからだ(堀口正治 2000)によると

大円筋は小円筋よりも太い円柱状の筋である. 起始部は小円筋の下方に隣接し,下から広背筋におおわれる. 停止部では,広背筋の停止腱が円柱状の大円筋を包むように後→下→前と位置を 変えながら表裏翻転し,大円筋の停止腱の前に位置してほぼおなじ場所に停止する.

本筋は,肩甲骨背側面で,小円筋の起始の内側下方にあたる下角とこれに近い部分から起始し,小円筋の下外側にそって上外側方に走り,上腕三頭筋 長頭の停止腱と交差する. このさい,小円筋は上腕三頭筋長頭の停止腱の後を走るのに対し,大円筋と広背筋の停止腱は前を走る. ついで上腕骨の前に達して小結節稜に停止する. したがって,小円筋,大円筋と広背筋の停止腱,上腕三頭筋長頭および上腕骨により,長頭の内側と外側とに,筋と骨とによって囲まれた隙間を生じる. これらは,内側および外側腋窩隙とよばれ,腋窩から肩甲骨および上腕骨の背側にむかう神経および血管の通路となる.

大円筋はまれに欠如することがある. また,肩甲下筋との分離が不十分で,外側腋窩隙が形成 されないことがある(堀口ら,1992 b).