

J0079 (頭蓋骨、筋の起こる所と着く所を示す:前面からの図)





概要
眼輪筋は眼裂を取り囲む表情筋で、眼瞼の閉鎖、まばたき運動、涙液循環、表情形成において中心的な役割を果たします。この筋は顔面神経に支配され、眼の保護機能と社会的コミュニケーションの両面で重要な意義を持ちます(Gray and Standring, 2015)。
解剖学的構造
筋の区分と配置
眼輪筋は機能的・解剖学的に以下の3部に区分されます(Moore et al., 2018):
起始と停止
外側眼瞼縫線と外側眼瞼靱帯の解剖学的関係
外側眼瞼縫線は眼輪筋の筋線維が交叉する線維性構造であり、外側眼瞼靱帯(lateral palpebral ligament)とは別の構造です。外側眼瞼靱帯は眼瞼板の外側端から起こり、頬骨に付着する靱帯構造ですが、外側眼瞼縫線とは内側部でのみゆるく結合しています。この2つの構造は解剖学的に混同されやすい点であり、眼瞼形成術などの外科的処置において正確な理解が必要です(Kakizaki et al., 2009)。
外側部では眼輪筋と骨との直接的な結合がないため、強く閉眼すると目尻から放射状に広がる皮膚のヒダ(鳥足状皺、crow's feet)が形成されます。この現象は加齢に伴う皮膚弾性の低下により顕著になります。
神経支配
眼輪筋は顔面神経(第VII脳神経)の側頭枝(temporal branch)と頬骨枝(zygomatic branch)によって支配されます(Saban et al., 2017)。神経は筋の深層から進入し、眼窩部と眼瞼部それぞれに分布します。顔面神経麻痺の際には、この神経支配パターンにより特徴的な閉眼障害が生じます。
血液供給
眼輪筋への血液供給は以下の動脈から行われます: