脛腓関節 Articulatio tibiofibularis
脛腓関節は、下腿部において脛骨と腓骨を連結する重要な関節構造です。この関節は、近位脛腓関節(superior tibiofibular joint)とも呼ばれ、膝関節の約2.5cm下方に位置しています(Gray, 2020; Moore et al., 2018)。

J0339 (右膝関節:後方からの図)

J0344 (右下脚の靱帯:前面からの図)
解剖学的構造
関節の構成:
- 脛骨の外側顆の後外側面に存在する腓骨関節面と、腓骨頭の内側面にある関節面によって形成されます(Standring, 2016)。
- 平面関節(plane joint)または滑膜性半関節(amphiarthrosis)に分類されます(Drake et al., 2015)。
- 関節面は小さく、卵形または円形を呈し、わずかに凸凹の関係にあります(Netter, 2019)。
- 関節包は比較的緩く、関節腔は膝関節腔と連続していることがあります(約10%の症例)(Ogden, 1984)。
靭帯構造:
- **前腓骨頭靱帯(anterior ligament of fibular head):**腓骨頭の前面から脛骨外側顆の前縁へ斜走します。2-3本の線維束から構成され、関節の前方安定性を提供します(Espregueira-Mendes & da Silva, 2006)。
- **後腓骨頭靱帯(posterior ligament of fibular head):**腓骨頭の後面から脛骨外側顆の後面へ走行します。前靭帯よりも厚く強固で、関節の主要な安定化構造です(Lambert, 1971)。
- **下腿骨間膜(interosseous membrane):**脛骨と腓骨の骨幹部を広範囲に連結する強靭な線維性膜で、近位脛腓関節の安定性に寄与します(Standring, 2016)。
機能と運動
脛腓関節は以下の機能的特徴を持ちます:
- 関節の可動性は極めて限定的で、通常2-3mm程度の微小な滑り運動と回旋運動のみが可能です(Weinert et al., 1973)。
- 足関節の背屈時には、距骨滑車の前方が後方よりわずかに広いため、腓骨が外側へ約1-2mm移動します(Close, 1956)。
- この微小な動きにより、足関節の機能的安定性と可動域が確保されます(Kapandji, 2011)。
- 下腿骨間膜とともに、下腿の回旋負荷や軸圧を分散する役割を果たします(Lambert, 1971)。
臨床的意義