膝横靱帯 Ligamentum transversum genus

J0335 (右の膝関節と脛骨:上方からの図)

J0337 (右の膝関節:前方からの図)

J0338 (右膝関節:前方からの図)
解剖学的特徴
膝横靱帯は、膝関節前方の半月板間を連結する短く扁平な線維束です(Gray, 2020; Standring, 2020)。以下の解剖学的特徴を有します:
- 位置と走行:外側半月板の前角と内側半月板の前角を横方向に連結し、膝関節の前方で脛骨の関節面上を横断します(Standring, 2020)。
- 付着部:外側半月板前角の前縁から起始し、内側半月板前角の前縁に停止します。一部の線維は脛骨前面の骨膜に付着することもあります(Moore et al., 2018)。
- 構造:密な膠原線維からなる結合組織で構成され、比較的薄い線維束ですが、強靭な張力に耐える構造を持ちます(Standring, 2020)。
- 血管供給:膝関節動脈網、特に下外側膝動脈と下内側膝動脈からの分枝により栄養されます(Moore et al., 2018)。
- 神経支配:膝関節枝(大腿神経、伏在神経、閉鎖神経、総腓骨神経からの分枝)により感覚神経支配を受けます(Gray, 2020)。
- 個体差:膝横靱帯は個体によって発達の程度に差があり、一部の症例では欠如または非常に細い線維束として認められることがあります(Heller & Langman, 1964)。
機能的役割
膝横靱帯は膝関節の機能において以下の重要な役割を果たします(Makris et al., 2000):
- 半月板の連結と安定化:内側半月板と外側半月板の前角を連結することで、両半月板の協調的な動きを促進し、膝関節運動時の半月板の前方移動を制限します(Makris et al., 2000)。
- 荷重分散:膝関節への荷重時に、両半月板間で応力を分散させることで、関節軟骨への過度な圧力集中を防ぎます(Fox et al., 2012)。
- 関節の安定性:前十字靱帯や膝蓋靱帯とともに、膝関節前方部の安定性維持に寄与します(Standring, 2020)。
臨床的意義
膝横靱帯は臨床的に以下の重要性を持ちます:
- 外傷:膝関節の前方からの直接打撲や過伸展損傷により、膝横靱帯の断裂や損傷が生じることがあります。特にスポーツ外傷で半月板損傷に合併することがあります(Arnoczky & Warren, 1982)。
- 半月板手術:関節鏡視下半月板切除術や半月板縫合術において、膝横靱帯は重要な解剖学的指標となります。手術時に膝横靱帯を同定することで、半月板前角の位置を確認できます(Miller et al., 2004)。
- 画像診断:MRI検査において、膝横靱帯は矢状断面と冠状断面で観察可能です。損傷時には信号強度の変化や連続性の断裂として描出されます(De Smet & Graf, 1994)。