仙棘靱帯 Ligamentum sacrospinale

J0325 (右の骨盤の靱帯:前面から少し上からの図)

J0326 (右側の骨盤の靱帯:後方からの図)

J0455 (長い背筋(1層目):背面図)

J0493 (右骨盤の筋:外側から遠位の図)

J0591 (男性右側の閉鎖動脈(破格))
解剖学的特徴
概要
仙棘靱帯(仙棘靭帯、さんきょくじんたい、Ligamentum sacrospinale)は、骨盤の後部に位置する三角形の扁平な靱帯で、骨盤底の構造的完全性を維持する重要な役割を果たしています(Standring, 2016)。この靱帯は、骨盤環の後方部分を構成する主要な靱帯構造の一つであり、骨盤の安定性と骨盤底の支持機構において中心的な役割を担っています。
起始と付着
- 起始:坐骨棘(spina ischiadica)の内側縁および先端部から起始します(Moore et al., 2018)。坐骨棘は坐骨の後縁に位置する突起で、骨盤の重要な解剖学的指標となります。
- 走行:坐骨棘から内側後方に向かって扇状に広がりながら進みます。この走行により、靱帯は三角形の形状を呈します。
- 付着:仙骨の下外側縁(主にS4-S5レベル)および尾骨の外側縁に広範囲に付着します(Netter, 2019)。付着部は仙骨および尾骨の外側縁に沿って複数の線維束として分散しています。
形態学的特徴
- 形状:扁平な三角形を呈し、坐骨棘から仙骨・尾骨に向かって扇状に広がります
- 厚さ:約2-3mm。ただし、個人差があり、部位によっても異なります(Raychaudhuri and Cahill, 2008)
- 幅:付着部で約2-3cm。坐骨棘から仙骨に向かうにつれて広がります
- 構造:主に密性結合組織の膠原線維(I型コラーゲン)からなり、一部に弾性線維も含まれます。線維は主に靱帯の長軸方向に配列しています
- 血管分布:主に内陰部動脈および下殿動脈の枝から血液供給を受けます
- 神経支配:陰部神経および仙骨神経叢の枝から知覚神経支配を受けます
位置関係と周辺構造
- 仙結節靱帯との関係:仙棘靱帯は仙結節靱帯の前面・上方に位置し、両靱帯の線維は部分的に混じり合っています(Drake et al., 2020)。両靱帯は機能的に協調して骨盤の安定性を提供します。
- 梨状筋との関係:仙棘靱帯の前面(内側面)には梨状筋が位置し、靱帯の後面(外側面)は臀部の軟部組織に覆われています。
- 血管・神経との関係:靱帯の前面(骨盤腔側)を陰部神経と内陰部血管が走行し、小坐骨孔を通過します。この解剖学的関係は臨床的に重要です。