外側手根側副靱帯(橈骨手根関節の)Ligamentum collaterale carpi radiale

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J0320 (右手の関節、手根を回外位とし、掌側からの図)

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J0321 (右手の関節:手根を回外位とし、手の甲からの図)

解剖学的構造

起始・停止

外側手根側副靱帯は、橈骨茎状突起(styloid process of radius)から起始し、遠位に向かって舟状骨(scaphoid bone)および大菱形骨(trapezium bone)の外側面に停止する線維性の靱帯です(Berger, 1996)。この靱帯は橈骨手根関節(radiocarpal joint)の外側(橈側)を走行し、関節包の外側部分を補強しています。

構造的特徴

本靱帯は表層の線維束として観察され、橈骨手根関節の外側安定化機構の主要な構成要素となっています(Taleisnik, 1976)。線維の走行は橈骨茎状突起から斜め遠位かつ掌側方向に向かい、手根骨の外側縁に付着します。靱帯の厚さや強度には個人差がありますが、一般的には強靭な結合組織で構成されています(Viegas et al., 1999)。

周辺構造との関係

外側手根側副靱帯は、橈骨手根関節の関節包と密接に結合しており、長母指外転筋腱(abductor pollicis longus tendon)や短橈側手根伸筋腱(extensor carpi radialis brevis tendon)などの腱構造と近接して位置しています(Garcia-Elias et al., 2006)。また、橈骨動脈の表在枝がこの靱帯の近傍を走行します。

機能

関節の安定化

外側手根側副靱帯は、橈骨手根関節の橈側安定性を提供する最も重要な静的安定化機構です(Berger, 1996)。特に、手首の尺屈(ulnar deviation)運動時に緊張し、手根骨が過度に尺側に偏位することを防ぎます。また、手首の回旋運動においても関節の適切な運動軸を維持する役割を果たしています(Taleisnik, 1976)。

運動制限機能

この靱帯は手首の側方運動、特に尺屈方向への過度な動きを制限します(Garcia-Elias et al., 2006)。また、手首の掌屈(palmar flexion)と背屈(dorsiflexion)の組み合わせ運動においても、関節の生理的可動域を維持し、異常な運動パターンを防止する機能を持ちます。

臨床的意義

損傷メカニズム

外側手根側副靱帯の損傷は、手首の強制的な尺屈や回旋を伴う外傷で生じることがあります(Pappas et al., 2013)。転倒時に手をついた際や、スポーツ活動中の急激な手首の動きによって損傷することが報告されています。特に、ラケットスポーツやコンタクトスポーツにおいて損傷リスクが高まります(Rettig, 2004)。

臨床症状

靱帯損傷時には、橈骨茎状突起周囲の疼痛、腫脹、圧痛が認められます(Pappas et al., 2013)。手首の尺屈運動時や握力発揮時に疼痛が増強することが特徴的です。また、関節の不安定性が存在する場合、手首のクリック音や引っかかり感を訴えることもあります。

診断