0321 (右手の関節:手根を回外位とし、手の甲からの図)

J0321 (右手の関節:手根を回外位とし、手の甲からの図)
この図は「右手の関節(手根は回外位)、手背側からの図」です。手の甲側の靱帯ネットワークと、中手骨・手根骨の位置関係を示しています
要点
- 視点と姿勢:手は回外位(手のひらが上を向く姿勢)ですが、図は手背側を見ています。背側の靱帯が網目状に走行し、手根骨どうしや手根と中手の連結を安定化します
- 長管骨:前腕末端の尺骨01と橈骨16が上方に見えます。両骨の間の遠位橈尺関節02が手関節の回内外運動を許容します
- 代表的な靱帯
- 背側橈骨手根靱帯17:橈骨から手根列へ扇状に走り、手関節背側を安定化
- 手根側副靱帯:尺側(内側)04と橈側(外側)18が、手関節の側方安定性を担います
- 背側手根間靱帯07:手根骨同士を結ぶ短い靱帯群で、手根列の一体性を保つ
- 背側手根弓状靱帯06:背側で弓状に横走し、手根背側の張力分散に寄与
- 背側手根中手靱帯09:手根から中手骨基部を連結し、手根中手関節(CMC)の安定化
- 背側中手靱帯10:隣接する中手骨基部間を結び、手背の横方向安定性を強化
- 骨ランドマーク
- 近位手根列:舟状骨19、月状骨(ラベルは省略だが列中)、三角骨05、豆状骨(掌側に位置)
- 遠位手根列:大菱形骨21、小菱形骨23、有頭骨20、有鈎骨08
- 中手骨:第1〜第5中手骨 15・14・13・12・11 が扇状に配列
- 親指の手根中手関節22は鞍関節で、広い可動域(対立・外転など)を生みます
- 機能のまとめ
- 背側靱帯群は主に「過屈曲の制動」「剪断の抵抗」「列間の結束」を担い、把持や荷重時に手根列が崩れないようにします
- 橈側と尺側の側副靱帯は、側方ストレスや回旋の制御に重要です。損傷すると橈側(母指側)あるいは尺側の不安定感や把持力低下が生じます
番号と対応する主な構造(抜粋)
- 01 尺骨 02 下橈尺関節 03 尺骨茎状突起 04 尺側(内側)手根側副靱帯
- 05 三角骨 06 背側手根弓状靱帯 07 背側手根間靱帯
- 08 有鈎骨 09 背側手根中手靱帯 10 背側中手靱帯
- 11–15 第5〜第1中手骨 16 橈骨
- 17 背側橈骨手根靱帯 18 橈側(外側)手根側副靱帯
- 19 舟状骨 20 有頭骨 21 大菱形骨 22 親指の手根中手関節 23 小菱形骨
臨床メモ
- 手関節背側痛では、橈骨手根靱帯17や手根間靱帯07の損傷が鑑別に挙がります。母指基部痛はCMC関節22や大菱形骨21の変性が関与しやすいです
必要なら、各番号の英語名やラテン語名の一覧も作成します。