顎関節とは、下顎骨と側頭骨の間にある関節のことです。関節頭である下顎骨は左右に長い楕円体状で、前後に短いです。一方、関節窩は側頭骨の下顎窩から関節結節の下にいたる面で前後に長いです。両者の間には関節円板が介在し、その下面は特に深くくぼんでおり、関節頭と関節窩の不適合を調節しています。関節包はゆるく、内面は関節円板に固くついています。 関係する靭帯は次の三つです。

  1. 外側靭帯:関節包の外側面を補強し、側頭骨頬骨突起から起こり、下顎径につながります。
  2. 蝶下顎靱帯:関節包の内側にあり、蝶形骨棘から起こり、下顎小舌につながります。関節包とは密着しておらず、その間に下歯槽動脈・静脈・神経が介在します。
  3. 茎突下顎靱帯:関節の後方にあり、茎状突起から起こり、下顎角後縁の内面につながります。この靭帯は頚筋膜が局部的に肥厚したもので、耳下腺と顎下腺を隔てています。 顎関節は縫合(咀嚼)運動を行いますが、それは次の三つに大別されます。
  4. 下顎の上下運動
  5. 前後運動
  6. 左右運動 主として、1は関節円板と下顎頭の間で、2は側頭骨関節結節と関節円板の間でそれぞれ行われます。そして、2の運動が左右の関節で交互になされると、3が行われることになります。これらの運動が組み合わせて行われ、運動には関節円板の胃道が伴うこと、単なる蝶番運動ではないこと、また左右の関節が協同して働くことが、顎関節の特徴です。

J284.png

J0284 (右側の顎関節:外側からの図)

J285.png

J0285 (右側の顎関節:外側からの図)

J286.png

J0286 (右側の顎関節:内側方からの図)

J287.png

J0287 (右の顎関節:外側から見てやや模式的な図)