距骨頭 Caput tali
距骨頭は、距骨(talus)の前方に位置する卵円形の突出部で、足根骨間の重要な関節面を形成します(Sarrafian, 1993)。距骨は体重を下肢から足部へ伝達する要となる骨であり、その前方部である距骨頭は足部のアーチ構造と運動機能において中心的な役割を果たしています(Inman, 1976)。

J0251 (右距骨:下方からの図)

J0252 (右距骨:上方からの図)

J0256 (右足の舟状骨:後方からの図)
解剖学的構造
位置と形状
- 距骨頭は距骨の前方約1/3を占め、距骨頸(neck of talus)を介して距骨体(body of talus)と連続しています(Standring, 2020)
- 横楕円球状の凸面を呈し、その長軸は内側やや前方に向かっています
- 前方の凸面は舟状骨(navicular bone)と関節を形成する舟状骨関節面(articular surface for navicular)で覆われています
関節面の構成
距骨頭には複数の関節面が存在し、それぞれ異なる骨との関節を形成します:
- 舟状骨関節面(Facies articularis navicularis)
- 距骨頭の前方・上方を占める最大の関節面
- 凸状の楕円球面で、舟状骨の後面にある凹面と適合します
- この関節は距舟関節(talonavicular joint)を構成し、内側縦アーチの頂点となります(Sarrafian, 1993)
- 中踵骨関節面(Facies articularis calcanea media)
- 距骨頭の下面後方に位置する最大の関節面
- 踵骨の載距突起(sustentaculum tali)上面と関節を形成します
- 前・中踵骨関節とともに距踵関節(subtalar joint)の一部を構成します
- 前踵骨関節面(Facies articularis calcanea anterior)
- 距骨頭の下面前方外側に位置する小さな楕円形の関節面
- 比較的平坦で、踵骨の前関節面と接します
- この関節面は距骨頭の外側縁近くに位置し、踵骨前部との可動性を提供します
非関節面の特徴
- 距骨頭の後方内側面には、苔状の細い隆起線(ridge)が認められます
- この隆起線は距骨頭と距骨頸の境界を示す指標となります
- 隆起線より後方内側の領域は舟状骨と直接接触せず、底側距舟靱帯(plantar calcaneonavicular ligament; spring ligament)によって支持されています(Sarrafian, 1993)
- この底側距舟靱帯は足の内側縦アーチを保持する重要な支持組織です
機能的役割
体重伝達機構