後縁(腓骨の)Margo posterior (Fibula)
腓骨体の後縁(後縁、腓側稜、外側稜とも呼ばれる)は、腓骨の重要な解剖学的特徴の一つです(Standring, 2020)。

J0243 (右の下腿骨の中央を上から見た断面図)

J0244 (右の脛骨と腓骨:前方からの図)
解剖学的特徴
後縁は以下の特徴を持ちます:
- 鈍円状の縁を形成しており、内側縁や前縁と比較して、より丸みを帯びた形状をしています(Moore et al., 2018)。
- 上方部分では特に、やや平坦化しています。これは骨体上部での骨の断面形状の変化を反映しています(Standring, 2020)。
- 後縁は腓骨体の外側面と内側面の境界を形成し、腓骨の立体的な形状を決定する重要な要素です(Moore et al., 2018)。
- 骨体の中央部から下方にかけて、より明瞭な稜として触知可能になります(Drake et al., 2019)。
筋肉・組織の付着
後縁の周囲には以下の筋肉や組織が関連しています:
- ヒラメ筋(Soleus muscle):後縁の内側面に起始部が付着します。ヒラメ筋は下腿三頭筋の一部を構成し、足関節の底屈に重要な役割を果たします(Moore et al., 2018)。
- 長母趾屈筋(Flexor hallucis longus muscle):後縁の後内側面に沿って走行し、母趾の屈曲を担当します(Standring, 2020)。
- 後腓骨筋間中隔(Posterior intermuscular septum):後縁から発し、下腿の後外側区画と外側区画を分ける筋膜性の隔壁です(Drake et al., 2019)。
臨床的意義
後縁は以下の臨床的側面で重要です:
- 骨折の評価:腓骨骨折の際、後縁の骨折線の位置や方向は、骨折の分類や治療方針の決定に影響します。特に足関節部の骨折では、後縁を含む後果(posterior malleolus)の骨折が重要です(Court-Brown & McQueen, 2016)。
- コンパートメント症候群:下腿の外傷や過度の運動により、後縁周囲の筋区画内の圧力が上昇すると、コンパートメント症候群を引き起こす可能性があります。特に深後方区画の圧上昇は、長母趾屈筋の機能障害や神経血管の圧迫を招きます(Mauffrey et al., 2012)。
- 画像診断:X線撮影やCT、MRIにおいて、後縁は腓骨の同定と評価のための重要なランドマークとなります。特に軸位断(横断面)での評価で明確に確認できます(Standring, 2020)。
- 外科的アプローチ:下腿後方へのアプローチや腓骨の手術操作において、後縁は重要な解剖学的指標となります(Drake et al., 2019)。