恥骨結合面は、恥骨の表面に接合する恥骨の前面を指します。恥骨体の前内側端は肥厚し、長卵円形の凹凸不平な恥骨結合面を有します。恥骨結合面の輪郭の形や表面の性状には年齢的な変化があり、年齢判定の一つの目安となります。 T.W. Todd(1920, 1921)は、恥骨結合面の年令的変化に基づいて、年齢推定のための10段階の基準を作成しました。この基準は現在でも法医学会や人類学で活用され、頭蓋縫合の閉鎖状態による方法よりも少ない誤差で年令判定ができるとされています。 恥骨結合面の骨化の進行・完成と老人性の退行変化の程度を観察することが着眼点です。埴原(1952)と小山(1958)の日本人の調査結果を加味すると、次のようになります。17~19才の骨化未完成の時期には、結合面全体にわたって数条の平行隆線が明瞭に横走しています。年令が進むと、隆線間の谷は次第に浅くなり、隆線は不明瞭化し、ついには消失して結合面が平坦になります(25才~27才)。石灰沈着が進むと、結合面の辺縁が明瞭になってきますが、40才以上では老人性の変化が始まり、結合面は粗くなり、不規則な侵食破壊の像を示すようになります。