橈骨切痕 Incisura radialis

J0177 (右の尺骨:前方からの図)

J0178 (右の尺骨:橈側からの図)
解剖学的記述
位置と構造
橈骨切痕は尺骨の近位端、鈎状突起(processus coronoideus)の外側面に位置する半月状のくぼみです(Gray, 2020; Standring et al., 2016)。この切痕は前後に細長く、上下の幅は狭い楕円形を呈しています。
関節面の特徴
- 表面は滑らかな関節軟骨で覆われている
- 橈骨頭の環状関節面(circumferentia articularis)と適合する形状(Morrey & Sanchez-Sotelo, 2009)
- 前腕の回内・回外運動時に橈骨頭が滑走する
- 関節面の曲率は橈骨頭の円周に対応している
周囲の解剖学的構造
- 前縁:鈎状突起の外側縁に連続
- 後縁:肘頭(olecranon)の外側面に連続
- 上縁:滑車切痕(incisura trochlearis)の外側部と連続
- 下縁:尺骨骨幹の外側面へ移行
関節学的意義
近位橈尺関節(articulatio radioulnaris proximalis)の構成
橈骨切痕は橈骨頭とともに近位橈尺関節を形成します(Netter, 2018)。この関節は以下の特徴を持ちます:
- 車軸関節(articulatio trochoidea)に分類される
- 橈骨輪状靭帯(ligamentum anulare radii)が橈骨頭を取り囲み、橈骨切痕の前後縁に付着(Morrey & Sanchez-Sotelo, 2009)