0177 (右の尺骨:前方からの図)

J0177 (右の尺骨:前方からの図)
図は「右の尺骨:前方からの図」を示しています。近位端(肘側)から遠位端(手首側)へと並ぶ主要ランドマークに番号が振られています
- 01 肘頭(Olecranon):肘の後方に触れられる大きな突起。上腕骨の滑車と噛み合い屈伸の支点をつくる。上腕三頭筋が停止。
- 02 橈骨切痕(Radial notch):近位橈尺関節を形成。ここで橈骨頭が回転し前腕の回内外が起こる。
- 03 骨間縁(Interosseous border):橈骨との間に骨間膜が付く鋭い縁。力の伝達と筋の区画化に関与。
- 04 滑車切痕(Trochlear notch):上腕骨滑車と関節する半月状のくぼみ。肘関節の屈伸運動の受け皿。
- 05 鈎状突起(Coronoid process):前方の突起。上腕骨滑車の前面に嵌まり、前腕屈曲時の安定性に寄与。腕橈骨筋群や屈筋群の付着が近くにある。
- 06 尺骨粗面(Ulnar tuberosity):上腕二頭筋腱の停止部(主に橈骨粗面)と協調し、ここには腕尺骨筋(回内方形筋に近接する屈筋群)の付着が関連。前腕屈曲力の伝達点。
- 07 栄養孔(Nutrient foramen):骨内へ血管が入る孔。成人では近位へ向くことが多い。骨の栄養供給路。
- 08 前縁(Anterior border):骨前面の縁。筋区画の境界目安。
- 09 前面(Anterior surface):屈筋群(深指屈筋など)が張り付く面。
- 10 尺骨頭(Head of ulna):遠位端の丸い部分。遠位橈尺関節を形成し前腕の回内外で橈骨に対し回転。
- 11 茎状突起(Ulnar styloid process):手関節の尺側に触れられる突起。三角線維軟骨複合体(TFCC)が付着し手関節安定性に重要。
- 12 関節環状面(Articular circumference):尺骨頭を取り巻く関節面。遠位橈尺関節で橈骨切痕(橈骨側)と対応。
ポイント
- 近位端では上腕骨と橈骨に対する関節面が肘関節と近位橈尺関節をつくり、遠位端では遠位橈尺関節をつくる。
- 骨間縁は骨間膜の付着で、力の伝達と前腕の回旋に重要。
- 臨床的には茎状突起とTFCC、また鈎状突起・肘頭の骨折は肘関節不安定性と関係する。