橈骨頚 Collum radii

J0179 (右の橈骨:母指側からの図)

J0180 (右側の橈骨:背側からの図)
解剖学的概要
橈骨頚(Collum radii)は、橈骨頭(Caput radii)と橈骨体(Corpus radii)を連結する移行部であり、橈骨の近位端に位置する重要な解剖学的構造です(Standring, 2020)。
形態学的特徴
- 橈骨頭の直下に位置し、円柱状の橈骨体へと移行する部分に特徴的なくびれ(狭窄部)を形成します(Moore et al., 2017)。
- 細く湾曲した形状を呈し、内側から外側へ向かって斜めに走行しています(Netter, 2018)。
- 長さは約1〜2cmで、橈骨頭より若干細い直径を持ちます(Standring, 2020)。
- この部位は皮質骨が比較的薄く、骨折の好発部位となっています(Tan et al., 2020)。
周囲組織との関係
- 橈骨頚の内側面は橈骨輪状靱帯(Ligamentum anulare radii)に囲まれており、この靱帯が橈骨頭を尺骨の橈骨切痕に固定しています(Moore et al., 2017)。
- 回内筋(特に回内筋円形筋)の一部が橈骨頚の遠位部に付着します(Standring, 2020)。
- 橈骨頚は前腕の回内・回外運動時に橈骨輪状靱帯内で回転運動を行います(Netter, 2018)。
臨床的意義
1. 橈骨頚骨折(Radial neck fracture)
- 小児に多く見られる骨折で、特に5〜10歳の年齢層で好発します(Metaizeau et al., 1993)。
- 転倒時に肘関節伸展位で手をついた際に発生することが多く、外反力が加わることで生じます(Tan et al., 2020)。
- 成人では高エネルギー外傷により発生し、しばしば橈骨頭骨折を合併します(Duckworth et al., 2012)。
- 骨折の転位角度が30度以上の場合、整復が必要となることが多いです(Zimmerman et al., 2013)。
- 治療が不適切な場合、前腕の回内・回外運動制限や肘関節拘縮を残すことがあります(Metaizeau et al., 1993)。