外科頚(上腕骨の)Collum chirurgicum humeri
上腕骨の外科頚は、上腕骨の解剖学的構造において臨床的に極めて重要な部位であり、以下の詳細な特徴を持ちます(Neer, 1970; Hertel, 2005)。

J0169 (右上腕骨:前方からの図)

J0170 (右上腕骨:後方からの図)
解剖学的特徴
位置と境界:
- 上腕骨頭の大結節(tuberculum majus)と小結節(tuberculum minus)の直下に位置する(Standring, 2020)
- 上腕骨の近位端が円柱状の骨幹部(diaphysis)へ移行する領域を形成する
- 解剖頚(collum anatomicum)よりも遠位に位置し、より骨幹に近い(Rockwood et al., 2009)
- 上腕骨の内側面(やや後方寄り)では、外科頚と解剖頚がほぼ一致する
構造的特性:
- 骨質が比較的薄く、骨梁構造が粗になる移行部である(Court-Brown et al., 2001)
- 近位の海綿骨から遠位の緻密骨への移行帯に相当する
- この部位で骨の直径が急激に細くなるため、機械的脆弱性が高い(Hertel, 2005)
臨床的重要性
骨折の好発部位:
- 上腕骨近位部骨折の中で最も頻度が高い骨折部位の一つ(Court-Brown et al., 2001)
- 特に高齢者や骨粗鬆症患者において転倒などの低エネルギー外傷で骨折しやすい(Palvanen et al., 2006)
- 若年者では高エネルギー外傷(交通事故、高所からの転落など)により発生することが多い(Kim et al., 2012)
血管・神経との解剖学的関係:
- 腋窩神経(nervus axillaris)が外科頚の近傍を走行するため、骨折時に神経損傷のリスクがある(Visser et al., 1999)