上角(肩甲骨の)Angulus superior scapulae
肩甲骨の上角は、肩甲骨の内側上方に位置する解剖学的構造であり、臨床評価や筋骨格系の機能において重要な役割を果たします(Gray, 2020; Standring, 2022)。

J0160 (右の肩甲骨:前方からの図)

J0161 (右肩甲骨:後方からの図)

J0162 (右肩甲骨:外側からの図)

J0464 (右肩甲骨の筋:前面からの図)

J0466 (右上腕の筋:掌側図)
解剖学的構造と位置関係
位置と形態
- 肩甲骨の上角は、肩甲骨の内側縁(脊柱縁、vertebral border)と上縁(superior border)が交わる鋭角の頂点に形成されます(Moore et al., 2019)。
- 通常、第2肋骨の高さに相当し、第2胸椎棘突起(T2)のレベルに位置しています。ただし、肩甲骨の位置は個人差や姿勢により変動します(Netter, 2023)。
- 上角の形態は比較的丸みを帯びており、下角(inferior angle)と比較すると小さく、触診では深層に位置するため確認が困難です(Agur and Dalley, 2021)。
周囲の解剖学的構造
- 上角は頸部の深層に位置し、前方には斜角筋群(scalene muscles)、後方には僧帽筋(trapezius muscle)の深層部分に覆われています(Standring, 2022)。
- 内側縁に沿って肩甲挙筋(levator scapulae)と大菱形筋(rhomboid major)、小菱形筋(rhomboid minor)が付着しており、特に肩甲挙筋は上角に直接付着します(Moore et al., 2019)。
- 上角周辺には肩甲背神経(dorsal scapular nerve)が走行し、菱形筋群と肩甲挙筋を支配しています(Gray, 2020)。
- 上縁には肩甲上神経(suprascapular nerve)と肩甲上動脈(suprascapular artery)が通過する肩甲上切痕(suprascapular notch)が存在し、上角の外側に位置しています(Netter, 2023)。
筋付着部と機能
筋付着部
- 肩甲挙筋:第1〜4頸椎横突起から起始し、肩甲骨上角に停止します。肩甲骨の挙上と内転、下方回旋に関与します(Moore et al., 2019)。
- 小菱形筋:第7頸椎および第1胸椎の棘突起から起始し、上角周辺の内側縁に停止します(Standring, 2022)。
- これらの筋群は肩甲骨の安定化と運動制御において協調的に作用します(Kibler et al., 2018)。
運動学的意義
- 上角は肩甲骨の上方回旋(upward rotation)と下方回旋(downward rotation)の運動軸の一部として機能します(Ludewig and Reynolds, 2009)。