上肢骨 Ossa membri superioris; Bones of upper limb

J0208 (上腕骨:前方からの図)

J0209 (尺骨:内側からの図)

J0210 (橈骨:前方からの図)

J0211 (手:掌側からの図)
概要
上肢骨は、上肢帯(肩帯)と自由上肢骨から構成される(Moore et al., 2018)。上肢帯は鎖骨と肩甲骨からなり、体幹と上肢を連結する。自由上肢骨には、上腕骨(上腕)、橈骨と尺骨(前腕)、手根骨、中手骨、指骨(手)が含まれる。成人の上肢骨は片側で計32個の骨から構成される(Standring, 2020)。
解剖学的構成
1. 上肢帯の骨(Ossa cinguli membri superioris)
- 鎖骨(Clavicula):S字状に湾曲した長骨で、胸鎖関節で胸骨と、肩鎖関節で肩甲骨と連結する。上肢帯で唯一体幹と直接関節を形成する骨である(Moore et al., 2018)。
- 肩甲骨(Scapula):扁平な三角形の骨で、胸郭の後外側面に位置する。肩峰、烏口突起、関節窩(上腕骨頭との関節面)などの重要な構造を持つ(Standring, 2020)。
2. 自由上肢骨(Ossa membri superioris liberi)
上腕部(Brachium)
- 上腕骨(Humerus):上肢で最大の長骨。近位端には上腕骨頭、大結節、小結節があり、遠位端には滑車、小頭、内側上顆、外側上顆などがある(Moore et al., 2018)。
前腕部(Antebrachium)
- 橈骨(Radius):前腕の外側(母指側)に位置する長骨。近位端には橈骨頭があり、遠位端は手根骨と関節を形成する(Standring, 2020)。
- 尺骨(Ulna):前腕の内側(小指側)に位置する長骨。近位端には肘頭と鉤状突起があり、上腕骨滑車と腕尺関節を形成する(Standring, 2020)。
手部(Manus)
- 手根骨(Ossa carpi):8個の短骨からなり、近位列(舟状骨、月状骨、三角骨、豆状骨)と遠位列(大菱形骨、小菱形骨、有頭骨、有鉤骨)に配列される(Moore et al., 2018)。
- 中手骨(Ossa metacarpi):5個の長骨(第I〜V中手骨)で、手根骨と指骨の間に位置する(Standring, 2020)。
- 指骨(Ossa digitorum; Phalanges):母指は2個(基節骨、末節骨)、他の4指は各3個(基節骨、中節骨、末節骨)の計14個からなる(Moore et al., 2018)。
臨床的意義
骨折の好発部位