頚切痕(胸骨の)Incisura jugularis ossis sterni

J144.png

J0144 (胸骨:前面からの図)

J145.png

J0145 (胸骨:右側からの図)

J751.png

J0751 (気管とその右気管支の走行:右側からの図、半分は図式図)

J752.png

J0752 (気管とその左気管支の走行:左側からの図、半分は図式図)

解剖学的定義と構造

頚切痕(けいせつこん、英:jugular notch, suprasternal notch、ラテン:incisura jugularis)は、胸骨柄(manubrium sterni)の上縁中央に位置する特徴的な切痕で、胸郭の最上部を構成する重要な解剖学的ランドマークです(Gray and Carter, 2008; Standring, 2020)。

形態学的特徴

周辺の解剖学的構造

頚切痕周囲には多数の重要な解剖学的構造が近接しており、臨床的に重要な意義を持ちます(Ellis, 2006; Sinnatamby, 2011):

発生学的側面

胸骨は胚発生期に左右の胸骨板(sternal bar)が正中線で癒合して形成されます。頚切痕は、この癒合過程において胸骨柄の最上部が完全に閉鎖されずに残存した結果として形成される構造です(Drake et al., 2015)。癒合不全の程度により、切痕の深さや形状に個人差が生じます。

臨床的意義

頚切痕は臨床医学において多岐にわたる重要な意義を持ち、診断、治療、解剖学的指標として広く利用されています(Drake et al., 2015; Moore et al., 2018)。