歯槽突起 Processus alveolaris (Maxilla)

J0053 (右上顎骨:外側からの図)

J0054 (上顎骨:内面からの図)

J0055 (上顎骨:下からの左右両方の結合した図)

J0640 (頭部の前頭断、後方からの図)
歯槽突起は、上顎骨における重要な解剖学的構造であり、口腔領域の機能と形態に大きく関わっています。Standring (2020) によれば、この構造は顎骨の発生と機能において重要な役割を果たします。以下にその詳細な解剖学的特徴と臨床的意義を示します:
解剖学的構造
基本構造と形態
- 歯槽突起は上顎体の下面から下方に突出する厚い堤状の骨塊であり、歯の支持基盤として機能します (Drake et al., 2019)
- 曲線を描いて形成され、両側の上顎骨が正中で結合すると後方に開いた馬蹄形の歯槽弓(dental arch)を形成します (Netter, 2018)
- 歯槽突起の高さと幅は、収容する歯根の大きさに応じて変化し、犬歯部で最も厚く、切歯部と臼歯部では比較的薄くなっています (Moore et al., 2022)
- 上顎前歯部では唇側の骨板が薄く、時に透見性を示すこともあります (Januário et al., 2011)
歯槽窩と歯槽間構造
- 歯槽窩(alveolar socket)と呼ばれる円錐形の凹みを持ち、個々の歯根を収容・固定します
- 成人では一側につき8個(第三大臼歯を含む)、乳歯期では5個の歯槽窩が配列しています
- 歯槽間中隔(interalveolar septa)によって各歯槽窩は区切られており、隣接する歯根間の骨組織を形成します (Berkovitz et al., 2018)
- 多根歯では、歯根間中隔(interradicular septa)が同一歯の複数の歯根を分離しています
- 歯槽窩の内面は固有歯槽骨(bundle bone)と呼ばれる薄い緻密骨層で覆われており、歯根膜線維がシャーピー線維として侵入・固定されています (Cho and Garant, 2000)
骨組織学的構成
- 歯槽突起は外側と内側の緻密骨板(cortical bone plate)と、その間を充填する海綿骨(cancellous bone)から構成されています
- 海綿骨の骨梁は咀嚼力の方向に沿って配列し、力学的ストレスに適応した構造を示します (Frost, 2003)
- 骨髄腔には造血組織や脂肪髄が含まれ、骨のリモデリングに関与する骨芽細胞・破骨細胞が存在します
- 血管と神経が豊富に分布しており、上歯槽動脈・静脈および上歯槽神経の分枝が歯槽突起内を走行します (Pretterklieber et al., 2007)