前頭鱗(前頭骨の)Squama frontalis

J0035 (前頭骨:前方からの図)

J0036 (前頭骨:後方からの図)

J0051 (鋤骨:左方からの図)

J0052 (鋤骨:前面からの図)

J0082 (頭蓋骨:上方からの図)

J0083 (頭蓋骨:内側からの図)

J0087 (左側からの頭蓋骨の正中断図)

J0094 (頭蓋骨の前頭断、後方からの図)
解剖学的構造
前頭鱗(Squama frontalis)は前頭骨の最も広大な部分を占め、頭蓋骨の前面および前頭部を構成する扁平な骨片です。この構造は、胎生期には左右2つの骨原基から発達し、通常は生後2歳頃までに正中で癒合して単一の骨として形成されます (Gray & Williams, 2020)。
前頭鱗の形態学的特徴:
- 外板(Lamina externa):滑らかな凸面を呈し、皮下組織および前頭筋に覆われています。正中線上には前頭縫合の痕跡(metopic suture)が残存することがあります(成人の約8-10%)(Standring, 2023)。
- 内板(Lamina interna):脳の前頭葉に対応する凹面を形成し、脳回の圧痕(impressiones digitatae)や脳溝の隆起(juga cerebralia)が観察されます。また、上矢状静脈洞溝(sulcus sinus sagittalis superioris)が正中線上を走行します (Moore et al., 2018)。
- 板間層(Diploë):外板と内板の間には海綿骨質が存在し、板間静脈(venae diploicae)が走行します。この層は衝撃吸収と骨の軽量化に寄与しています。
- 前頭洞(Sinus frontalis):前頭鱗の下部、眉弓(arcus superciliaris)の後方に位置する含気腔で、通常は左右非対称です。前頭洞は鼻前頭管を介して中鼻道に開口し、副鼻腔系の一部を構成します (Standring, 2023)。前頭洞の発達には個人差が大きく、生後数年から思春期にかけて徐々に拡大します。
解剖学的境界と縫合
- 上縁:冠状縫合(sutura coronalis)を介して左右の頭頂骨と連結します。この縫合は前頭骨と頭頂骨の鋸歯状嵌合により形成され、通常は成人期まで可動性を保持します。
- 下縁:眼窩上縁(margo supraorbitalis)を形成し、眼窩の上壁の一部となります。
- 側方:蝶形骨大翼および側頭骨鱗部と接合します。
表面の解剖学的ランドマーク
- 前頭結節(tuber frontale):前頭鱗外面の左右対称な隆起で、胎生期の骨化中心に相当します。
- 眉弓(arcus superciliaris):眼窩上縁の上方に位置する隆起で、前頭洞の前壁を形成します。男性でより顕著です。
- 眉間(glabella):左右の眉弓間の滑らかな隆起部で、頭蓋計測の重要な基準点です。
- 側頭線(linea temporalis):前頭鱗の側面を斜走する隆起線で、側頭筋膜の付着部となります。
血管と神経の関係
前頭鱗の骨膜には豊富な血管網が分布しています: