髄腔 Cavitas medullaris
髄腔(骨髄腔)は、長骨の骨幹部中央に位置する円筒状の空洞で、解剖学的および生理学的に重要な役割を果たしています(Gray & Standring, 2020; Moore et al., 2018)。

J0003 (大人の新鮮な右大腿骨の近位部、前方からの図)

J0005 (大人の右側の脛骨の近位半分の背面および側面からの図)
解剖学的構造
位置と形態:
- 大腿骨、脛骨、腓骨、上腕骨、橈骨、尺骨などの長骨の骨幹部(diaphysis)に存在します(Netter, 2018)
- 円筒状の空洞で、骨の長軸方向に伸びています
- 骨端部に近づくにつれて海綿骨の骨梁で満たされ、髄腔は徐々に狭くなります
髄腔壁の構造:
- 緻密骨(骨皮質)によって囲まれています
- 内面は骨内膜(endosteum)で覆われており、骨芽細胞や破骨細胞を含む薄い結合組織層です(Ross & Pawlina, 2020)
- 骨内膜は骨の内側からの改築(リモデリング)に関与しています(Dimitriou et al., 2011)
髄腔の内容物:
- 骨髄(bone marrow)で満たされています(Travlos, 2006)
- 小児期:赤色骨髄(造血活性のある骨髄)が優位
- 成人期:黄色骨髄(脂肪組織が主体)へと徐々に置換される
- ただし、必要時には黄色骨髄が赤色骨髄へ再転換可能
- 栄養動脈(nutrient artery)が骨幹部の栄養孔(nutrient foramen)から髄腔内に入り、骨髄と骨組織に血液を供給します(Gray & Standring, 2020)
- 静脈系も発達しており、骨髄から血液を排出します
- 神経線維も存在し、痛覚の伝達に関与します
生理学的機能
造血機能: