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片山正輝

目次(V. 神経系)

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脊髄の神経細胞は様々な観点から分類できる。ここで取り上げる重要な区別の一つは、神経突起(軸索突起)Neuritenの関係Verhaltenと経過Bahnに基づいている。この観点から、以下のように区別される:

  1. 根細胞Cellulae radiculares, Wurzelzellen

神経突起が前根または後根に入る細胞。

  1. 索細胞Cellulae funiculares, Strangzellen

神経突起が脊髄の白質の索に達する細胞。索細胞は一側性unilateralesと両側性bilateralesに分けられる。両側性の場合、神経突起が2本の線維に分かれ、そのうち1本は前交連を経て反対側の髄外套に達する。

  1. 軸索分枝細胞 Cellulae axi-ramificatae

神経突起が灰白質内で、細胞体の近くで多数の極めて細い枝に分かれる細胞。軸分枝細胞の中には、神経突起が白前交連を越えて反対側の灰白柱内で終末分枝の集まり(terminales Astwerk)を形成するものもある。

これらの細胞は、その特有な作用(spezifische Funktion)によって、運動性(motorisch)、知覚性(sensibel)、反射性(reflektorisch)、連合性(assoziierend)などに分類できる。様々な細胞について多くの重要な特性が詳しく知られているが、特に以下の点に注意を要する:

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[図398]孵化9日目のニワトリ幼仔の胸髄の前根細胞と後根細胞

A 前根;B 後根;C 前根細胞(運動神経細胞);c 前根細胞の軸索;D 後根の脊髄内部分;e 側枝の起始部、f で分岐する;g 根線維の側枝の終末枝;d 分岐部;E 脊髄神経節;h 双極神経節細胞;i 哺乳類型に類似した別の双極神経節細胞(Cajal による)。

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[図399] 脊髄神経節の構成およびその細胞の模型図:脊髄および交感神経幹との結合関係を示す

(Hirt, Z. Anat. Entw.,87. Bd.,1928より)

1 体性感覚細胞;2 内臓感覚細胞;3 その両突起細胞体方向(cellulipetal)に伝導する細胞;4 その両突起細胞体から離れる方向(cellulifugal)に伝導する細胞;5 単極細胞;6 介在細胞。

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[図400]脊髄の構造を模型的に表わした図左側は側枝、右側は神経細胞を示す。(v. Lenhossék)

右側は運動性細胞で、その神経突起に側枝がある。赤は前側索に線維を出す索細胞で、その中にはクラーク柱の細胞およびローランド膠様質の辺縁帯の細胞もそれぞれ1つずつ含まれている。前索細胞の側枝がよく発達していることに注意。紫は交連細胞で、この種に属する「短い」突起をもつ細胞の1つを斜線で示してある。緑は後索細胞で、小さい細胞はローランド膠様質の細胞である。は短い神経突起を有する細胞。9: 側索残余または側索基礎束。

左側は脊髄神経節の細胞、後根、その分岐部および灰白質の様々な領域に終わる側枝を示す。左から右へ次の順序で表されている:後柱における終末、灰白質の中間部における終末、前柱における終末(反射側枝Reflexkollateralen)、クラーク柱および対側の後柱における終末。赤は前側索の側枝として総括されうるもの。は交連細胞の神経突起の側枝。は錐体路の側枝の終止様式。

1. 根細胞 Cellulae radiculares, Wurzelzellen

2. 索細胞 Cellulae funiculares, Strangzellen

3. 軸索分枝細胞 Cellulae axi-ramificatae