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(図275(女性の骨盤内臓器)、図276(女性骨盤部の正中断面)、図284(子宮、卵管、卵巣、子宮広間膜、腟上部)、図290(腟、子宮、右卵管)、図292(16歳の少女の外陰部)、図294(女性の外陰部) )
腟は筋性の膜でできており、前後に扁平で拡張可能な管である。その上端部は子宮頸を取り囲み、下端は外陰部に続いており、腟口(Ostium vaginae, Scheidenmund)で終わる。
**局所解剖:**腟は後下方で直腸と接し、前方は膀胱と尿道に接している。尿生殖隔膜を貫き、肛門挙筋の前部によって両側を境されている。これは生体で容易に触知できる。腟の縦軸は骨盤軸と一致する。後壁は前壁より1.5~2.5cm長く、平均8~10cm、前壁は7~8cmである(図275(女性の骨盤内臓器)、図276(女性骨盤部の正中断面))。(日本人の腟の長さは生体において前壁が6.97~7.13cm、後壁が7.85~8.67cmである[小坂田、臨床婦人科産科5巻]。)
腟は中央部が最も広く、特に横方向に広い。これは、腟の前壁(Paries ventralis)と後壁(Paries dorsalis)が互いに接しているためである。上下の両端に向かって比較的狭くなるが、上端はやや広がり、外子宮口から少し離れたところで子宮頸を取り囲む。後壁は外子宮口の後唇より上方に達しているが、前壁では前唇がほとんど突出していない。外子宮口より上方の部分を腟円蓋(Fornix vaginae, Scheidengewölbe)または腟底(Scheidengrund)という。これは後方の深い部分と前方の浅い部分に分けられ、後腟円蓋・前腟円蓋(hinteres und vorderes Scheidengewölbe、最近はdorsales und ventrales Scheidengewölbe)と呼ばれる(図292(16歳の少女の外陰部))。
処女では腟の後壁の続きが、外から見ると半月形をして前方に突き出た下方の壁となっている。これを処女膜(Hymen, Scheidenklappe)という(図292(16歳の少女の外陰部))。
腟壁は前方で尿道壁と密着しており、両者の組織が融合している箇所で最も厚い。また腟は膀胱底ともしっかりと結合し、補強されている。後腟円蓋は腹膜に覆われており、腹膜は腟から直腸へと移行する。この部分より下方では、腟の後壁は直腸腟中隔(Septum rectovaginale)によって直腸の前壁と結合している(図275(女性の骨盤内臓器))。
かなりの例において、後腟壁がさらに下方まで腹膜に覆われている(Keibel, Sellheim)。
腟壁の各層 Schichten der Vaginalwand