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片山正輝

目次(V. 神経系)

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心臓枝の基本構造

胸部の神経分布

腹部の神経分布

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図524(交感神経幹上部・舌咽神経・迷走神経・副神経・舌下神経)

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図570(胸部の自律神経系)

α)上心臓枝Rami cardiaci craniales(図524(交感神経幹上部・舌咽神経・迷走神経・副神経・舌下神経))。これは2〜3本あり、上下の喉頭神経の間にある迷走神経の頚部から発して、総頚動脈に沿って下行する。右側では腕頭動脈に沿って進み深心臓神経叢に達し、左側では大動脈弓に接して存在する浅心臓神経叢に達する。これらの心臓枝のうち最上方にあるものが前述の抑制神経N. depressorである。また、若干の細い小枝を甲状腺に送っている(Braeucker)。

β)下心臓枝Rami cardiaci caudales(図524(交感神経幹上部・舌咽神経・迷走神経・副神経・舌下神経))。これは一部は反回神経から、一部は迷走神経の幹から発する。これらの枝は互いに結合し、また上心臓枝と、さらに交感神経の心臓に行く諸枝とも結合して、深心臓神経叢に入る。若干の細い枝が気管神経叢Plexus trachealisおよび食道神経叢Plexus oesophagicusにも与えられる。

c)迷走神経の胸部Brustteil des Vagusは反回神経の出るところから横隔膜の食道孔まで。

迷走神経は胸腔内におけるその全経過の間に交感神経の枝を受ける(Braeucker 1927)。これらの枝は脊髄神経の線維を迷走神経にもたらす(図570(胸部の自律神経系) )。

  1. 下気管枝Rami tracheales caudales。これは反回神経より下方で迷走神経の幹から分かれて、気管神経叢を作り、この神経叢はその近くにある神経叢と結合している。
  2. 気管支枝Rami bronchales。前気管支枝Rami bronchales ventralesと後気管支枝Rami bronchales dorsalesとが区別され、前後の両枝のうちでは後者の方がより強く発達している。これらの枝は肺に入る前に若干の細い小枝を肺胸膜に出している(Braeucker 1927)。そして気管神経叢と結合しつつ前肺神経叢Plexus pulmonalis ventralisと後肺神経叢Plexus pulmonalis dorsalisとを作る(図524(交感神経幹上部・舌咽神経・迷走神経・副神経・舌下神経))。