概要
本図は、1927年にBraeuckerによって作成された胸部の自律神経系の詳細な解剖図である。観察を容易にするため、血管系と胸管の大部分は図から除外されている。
左側の解剖学的特徴
- 交感神経幹が縦走しており、その経路上に中部および下部頸神経節が位置している。
- 第1、第4、第6、第11胸神経節が明確に描出されており、これらは大内臓神経および小内臓神経と複雑な神経連絡を形成している。
- 迷走神経に向かう多数の交通枝が存在し、さらに縦隔内に広く分布する縦隔枝が確認できる。
右側の解剖学的特徴
- 迷走神経本幹が確認でき、その主要な分枝として上喉頭神経外枝および反回神経が明瞭に描出されている。
- 心臓への豊富な神経支配として、上・中・下心臓神経が存在し、特に上心臓神経節との関連が示されている。
- 気管支に対する自律神経支配は、腹側枝および背側枝として体系的に描かれており、その分布様式が詳細に表現されている。

図570(胸部の自律神経系)
[図570] 胸部の自律神経系(Braeucker 1927)。
大部分の血管と胸管を除去してある。
図のアノテーションを左側から右側へ、そして上から下の順に示します:
左側:
- N. phrenicus (abgeschnitten) (横隔神経(切断))
- Ramus cardiacus cranialis (上心臓枝)
- Ramus communicans cum n. cervicali V. (第5頸神経との交通枝)