鼻腔のところでいっしょに述べる。鼻粘膜 Tunlca mucosa nasi 参照。

鋤鼻器(ヤコブソン器官)Organon vomeronasale(Jacobsoni)は人では痕跡器官である。これは切歯管Ductus incisiviおよび硬口蓋の切歯乳頭Papilla incisivaと密接な関係にある。

切歯管(右と左の)は骨の切歯管Canalis incisivusを通って鼻腔底から口蓋に達する。切歯管が通過可能であることは例外的であり、その場合は切歯乳頭に開口している。切歯乳頭には成人において大麦粒あるいは扁豆の形をした軟骨核が存在することがまれでない。乳頭の基礎をなす結合組織には多数の神経枝や血管があり、また触覚小体が認められる Peter, K., Anat. Anz., 46. Bd.,1914。

人のヤコブソン器官Jacobsonisches Organは短い袋状の管で、中隔板の前下端付近で両側にそれぞれ極めて小さな開口部をもって始まり、中隔板に沿って後方に伸びる。管の外側壁には鼻腔の呼吸部の上皮が連続し、内側壁には嗅部に類似した上皮がある。詳細についてはa) 左右の主鼻腔 Die beiden Hauptnasenhöhlen と感覚器の項を参照されたい。