https://funatoya.com/funatoka/Rauber-Kopsch.html
鼻前庭を被うものは外皮によく似た構造を示している。すなわち血管を有する乳頭と重層扁平上皮があり、また鼻毛とそれに伴う多数の脂腺がある。さらに汗腺も存在し、これは(Alverdes 1932によると)毛包に開口するアポクリン腺である。扁平上皮は下鼻甲介の前端と下鼻道の前部にも伸びている。
呼吸部の粘膜は乳頭を持たず、多列円柱線毛上皮で覆われている。血液を含まない状態でも粘膜の厚さは4mmに達することがある。結合組織部分はリンパ性組織の性質を帯び、孤立リンパ小節を有している。常に遊走細胞が上皮を通って鼻腔に遊出しているのが観察される。上皮との境界で粘膜は密になり、丈夫で一様な基底膜を形成する。この膜は嗅部との境界で薄くなって終わる。
静脈は特によく発達しており、下鼻甲介では鼻[甲]介海綿叢Plexus cavernosi concharumという顕著な網を形成し、そのため海綿組織に似た構造を示している。さらに粘膜は上皮性の腺に非常に富んでいる。上皮性の腺としてはまず杯細胞が挙げられる。また鼻腺Glandulae nasalesは分枝管状胞状腺であり、その数は極めて多い。Stöhrによるとこの腺は粘液と漿液を分泌するというが、SchiefferdeckerとMazlarskiは粘液のみを分泌すると主張している。導管の始まりは線毛上皮で覆われている。下鼻甲介には1cm²あたり100~150個の鼻腺が存在することも珍しくない(Sappey)。これらの腺はすべて鼻粘液を分泌し、鼻粘膜を潤している。嗅部の構造については感覚器の項を参照されたい。
副鼻腔の粘膜は非常に薄い。その結合組織部分は骨膜と融合して約0.02mmの厚さの1層を形成している。上皮も背が低く、大部分の箇所では扁平な線毛上皮である。腺は存在するものの、主鼻腔と比べて数がはるかに少なく、またより単純な形態をしている。