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目次(VI. 感覚器)

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基本構造

神経構造

組織学的特徴

神経線維特性

補充細胞(Ersatzzellen)あるいは基底細胞(Basalzellen)と呼ばれるものは、上皮の結合組織との境界部に位置し、概ね円錐状である。これらは突起を持ち、細胞間橋を形成して互いに連結し、原形質性の網を構成している。

哺乳動物では上皮の自由表面に嗅境界膜(Membrana limitans olfactoria)と呼ばれるクチクラ性の薄い膜が存在する。この膜には嗅細胞の末梢側突起それぞれに対応する小さな孔が開いている。つまり、この孔を通じて突起が表面に露出しているのである。一方、支持細胞はこの膜に完全に覆われている。

嗅境界膜の外面には、支持細胞に対応する部分で、放射状に細かい線条のついたクチクラ性の被覆がしばしば観察される。これは腸の上皮細胞の小棒縁(Stäbchensaum)を想起させる。嗅境界膜は現在もなお議論の的となっているが、これは神経上皮全体の自由表面を保護する膜であると同時に、それを固定する装置でもある。

嗅細胞神経上皮細胞(Neuroepithelzellen)である。嗅細胞の中枢側突起は神経突起であり、嗅糸球において終末分枝を形成している。

嗅上皮と線毛上皮の境界部、および線毛上皮自体の中に、上皮内神経線維(intraepitheliale Nervenfasern)が存在する。これらは粘膜の結合組織性部分から上皮内に進入し、細胞と結合することなく上皮中を表面近くまで伸びる。これは三叉神経に属する単純知覚性の神経線維の終末であるが、一部は終神経(N. terminalis)に属すると考えられる(終神経 N. terminalis )。同様の自由終末が嗅部の領域内でも、嗅糸線維の細胞性終末とともに存在する(図599(家兎における嗅細胞の配列)、600(生後8日のハツカネズミの嗅粘膜) )。

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