2. 下行性の伝導路系 absteigende Leitungs－Systeme

主要な下行性伝導路

下行性伝導路は大脳皮質から始まり、主に皮質脊髄路と皮質延髄路の2つの経路に分かれる
錐体路は中心前回から始まり、内包後脚、大脳脚を通過し、延髄で錐体交叉を形成する
錐体交叉後、大部分は外側皮質脊髄路となり、残りは前皮質脊髄路として下行する

脳神経系の下行路

顔面神経系は中心前回下部から始まり、橋で交叉して顔面神経核に終わる
三叉神経系も中心前回下部から始まり、一部が交叉して三叉神経起始核に至る

錐体外路系

錐体外路系は線条体、淡蒼部、視床下核、黒核、赤核、歯状核の6つの核から構成される
錐体外路系は意識的な随意運動ではなく、筋緊張の維持と協調運動に重要な役割を担う
広義の錐体外路系には赤核脊髄路、視蓋脊髄路、前庭脊髄路などが含まれる

[図506]錐体路：側方より見る。（Bechterewによる）

Nn 黒核、Np 橋核、Pv 錐体前索路、Pl 錐体側索路、Rv 前根、Tpc 橋［核］小脳路。

[図507]錐体路、三叉神経および顔面神経の運動性部分の中枢伝導路：前方からの図（Bechterewによる）

Dp 錐体交叉、Fc 交叉して三叉神経核にいたる線維Fibrae cruciantes、Fd 直接線維Fibrae directae、Fp 錐体束、NV 三叉神経起始核、NVII 顔面神経核、Pl 外側皮質脊髄路(錐体側索路)、Pv 前皮質脊髄路(錐体前索路)、Rv 前根、Tcb 皮質延髄路、Tcsp 皮質脊髄路．

[図508]運動性の脳神経の伝導路、核および根

皮質延髄路（BechterewおよびR. Richterによる）

a、b 眼球運動の皮質中枢から、眼筋運動を支配する神経（N. III、N. IV、N. VI）の核に至る伝導路 c 肩挙上の皮質中枢から、副神経（N. XI）の核に至る伝導路 f 口唇・眼瞼筋の皮質中枢から、顔面神経（N. VII）の核に至る伝導路 h 舌の皮質中枢から、舌下神経核に至る伝導路 k 咀嚼の皮質中枢から、三叉神経運動核に至る伝導路 s 喉頭・咽頭の皮質中枢から、舌咽神経と迷走神経の運動核（疑核）に至る伝導路

N. III、N. IV、N. V、N. VI、N. VII、N. XI、N. XII：それぞれ動眼神経核、滑車神経核などを表す

[図509]大脳基底核間の伝導路（緑）；錐体路（赤）；錐体外路（緑）；大脳皮質と視床間の結合＝黒；錐体外路系に直接または間接的に入るニューロン群＝青。（H. Spatzによる。技術的に一部修正。） a, a：視床から線条体へ至る線維、b, b：線条体から淡蒼球へ至る線維、c：淡蒼球から視床へ至る線維、d：淡蒼球から同側の視床下核と対側の視床下核（e）へ至る線維、f：淡蒼球から赤核へ至る線維、g：淡蒼球から視床下核へ至る線維、h, h：淡蒼球から黒質へ至る線維とその逆方向の線維、t：大脳皮質から赤核へ至る線維、k：大脳皮質から視床へ至る線維、P：皮質脊髄路、m：中心被蓋束、n：オリーブ脊髄路、o：赤核脊髄路、＊一＊：終脳と間脳の境界

[図510]大脳－橋－小脳路（皮質橋核路と橋核小脳路）、小脳オリーブ路、小脳被蓋路（小脳鈎状束内）、室頂核から出る下行路系、中心被蓋束（視床－赤核－オリーブ路）およびその小脳への続き（オリーブ小脳路）ならびに脊髄への続き（オリーブ脊髄路）

（BechterewおよびR. Richterによる）

Brc：結合腕、cn：（小脳）皮質核路、cpf：皮質橋核路の前頭部（Arnold）、cpt：皮質橋核路の後頭側頭部（Türck）、Crm：索状体の内側部、cr：皮質赤核路、ct：皮質視床路、Di：室頂核間交叉（Decussatio interfastigiosa）、f：室頂核、Fu：小脳鈎状束、g：球状核、Nl：前庭神経外側核（Deiters）、Nm：（視床）内側核、No：オリーブ核、Noa：背側副オリーブ核、Nom：後脳オリーブ核、Npl：橋核の外側部（Nuclei pontis laterales）、Npm：橋核の内側部（Nuclei pontis mediales）、Nr：赤核、Nro：延髄網様核（Nucleus reticularis medullae oblongatae）、Nrt：被蓋網様核（被蓋の運動性の核）、N VI：外転神経核、P, P：プルキンエ細胞、pc：橋核小脳路、pr：橋核網様体路、Rv：前根、Tco：小脳オリーブ路、Tct：小脳被蓋路、Toc：オリーブ小脳路、Tosp：オリーブ脊髄路、Trsp：網様体脊髄路、Tto：視床オリーブ路、Tvsp：前庭脊髄路

下行性の伝導路系は大脳皮質Hirnrindeめ細胞の神経突起よりなり，これらは下部にある諸核に達する．これらの核からおこる神経突起が末梢にすすみ，それは運動性の脳神経として，また脊髄の運動性の前根線維として末梢に走る．後根からの下行性線維と知覚性の脳神経からのそれとだけが例外をなしている．脊髄に達する線維は皮質脊髄路Tractus cqrticospinales(図507(錐体路、三叉神経および顔面神経の運動性部分の中枢伝導路：前方からの図) )と呼ばれ，脳神経核に達する線維は皮質延髄路Tractus cortlcobulbares(図507(錐体路、三叉神経および顔面神経の運動性部分の中枢伝導路：前方からの図)、図508(運動性の脳神経の伝導路、核および根) )と呼ばれる．

図405(脊髄における種々の伝導路の領域を示す（模型図）)

図468(中脳横断面における皮質延髄路と皮質脊髄路の位置)

図506(錐体路：側方より見る)

図507(錐体路、三叉神経および顔面神経の運動性部分の中枢伝導路：前方からの図)

図508(運動性の脳神経の伝導路、核および根)

錐体路 Pyramidenbahn

狭義の錐体外路系 extrapyramidal-motorisches System im engeren Sinne（Spaltzによる）