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目次(VI. 感覚器)

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嗅細胞棒状細胞(Stäbchenzellen)とも呼ばれる。核を有する紡錘形の細胞体から、中枢側と末梢側へそれぞれ1本ずつの突起を出している。中枢側の突起は極めて細く、末梢側は円柱形でかなり太い。中枢側の突起は隣接する細胞の同様の突起と共に細い線維束を形成し、それらが集まって嗅糸となる。この嗅糸は嗅球に至り、嗅球内の糸球(Glomerulum)で終末分枝を形成して終わる(図483(有線領(鳥距型)の8細胞層)、484(海馬足の模型図)、485(嗅球を通る横断面)、486(嗅球と嗅索の構造を示す模型図))。

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図483(有線領(鳥距型)の8細胞層)、484(海馬足の模型図)、485(嗅球を通る横断面)、486(嗅球と嗅索の構造を示す模型図)

これは長さ約2µmの繊細な小毛で、先が尖っており、6〜8本あって多くの場合やや放射状に散開している。小毛が直接付着している細胞部分は、薬品処理した標本では様々な大きさのボタン状の膨らみを示す。しかし、この部分が自然状態でも嗅小毛の根ざす土台となっているかどうかは、まだ確定していない。

核を持つ細胞体は様々な高さに位置するため、両突起の長さは各嗅細胞で大きく異なる。断面で見ると、細胞体とその核は幅広い帯状の領域内に分布している。この帯は補充細胞層から上皮の高さの中央を超えるあたりまで伸び、一線を成して終わっている。この幅広い帯を円核帯(Zone der runden Kerne)という(図595(ヒトの嗅部粘膜(横断面))図596(A. 嗅粘膜の上皮、B. 嗅部の縁における線毛上皮細胞)、597(ヒトの嗅部の神経上皮)、598(ヒトの単一嗅細胞) )。その核は全て1個の明瞭な核小体を持つことが特徴である。嗅細胞の配置は、1つの支持細胞を囲んで少なくとも6つ、時にはそれ以上の嗅細胞が存在する(図599(家兎における嗅細胞の配列)、600(生後8日のハツカネズミの嗅粘膜) )。

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図595(ヒトの嗅部粘膜(横断面))

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図596(A. 嗅粘膜の上皮、B. 嗅部の縁における線毛上皮細胞)、597(ヒトの嗅部の神経上皮)、598(ヒトの単一嗅細胞)

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図599(家兎における嗅細胞の配列)、600(生後8日のハツカネズミの嗅粘膜)

末梢側の突起は、その自由端に嗅小毛(Riechhärchen)という短く細い原線維性の総を付けている(図596(A. 嗅粘膜の上皮、B. 嗅部の縁における線毛上皮細胞)、597(ヒトの嗅部の神経上皮)、598(ヒトの単一嗅細胞) )。