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軟口蓋は粘膜で形成される大きなひだで、内部に筋肉を含み、口腔と咽頭腔の間に不完全な隔壁を形成している。硬口蓋の後縁から後下方に伸び、その中央部に口蓋垂(Uvula palatina)という細長い突起がある。軟口蓋の両側から、2対の弓形のひだが下方に伸びている。
これらを口蓋弓(Arcus palatini)と呼ぶ。前方の弓は舌口蓋弓(Arcus glossopalatinus)で、緩やかな円弧を描き、下方で舌縁に達し、三角形の粘膜ひだ(三角ヒダ、Plica triangularis)を形成して終わる。後方の弓は咽頭口蓋弓(Arcus pharyngopalatinus)と呼ばれ、より急な円弧を描き、狭く張られて下方は咽頭の側壁に達する。各側の前後2つの口蓋弓の間にあるくぼみを扁桃窩(Sinus tonsillaris)と呼び、ここに口蓋扁桃(Tonsilla palatina)が存在する。また、舌小胞腺の一群もここに分布している。前後の両口蓋弓の上部と口蓋扁桃の上端の間には扁桃上窩(Fossa supratonsillaris)というくぼみがある。左右の口蓋弓と舌背の後部の間の領域を口峡(Isthmus faucium, Rachenenge)という。
耳管咽頭口の前壁から口蓋帆の鼻腔面に達するひだがしばしば観察される(口蓋耳管ヒダ、Plica palatotubalis)。
口腔に面した軟口蓋の粘膜には少数の結合組織性乳頭が存在し、口蓋垂では比較的多い。粘膜は扁平上皮で覆われており、その中に味蕾が観察されることがある。鼻腔に面する軟口蓋の粘膜は多数の乳頭を持ち、線毛上皮で覆われている。その中に扁平上皮が島状に散在している。口蓋腺(Glandulae palatinae)は前後両面に非常に多く存在する。口蓋垂だけでも12個あり、後面に40個、前面に100個もある。これらは純粋な粘液腺である。(軟口蓋の後面(鼻腔側)にある腺は混合腺の構造を呈するものが多い、(小川鼎三))
この腱膜は口蓋骨の後縁に固着している。この筋の腱と翼突鈎の間には口蓋帆張筋包(Bursa synovialis tendinis m. tensoris veli palatini)がある。
この筋は耳管軟骨の下縁、翼状突起の内側板および鈎、ならびに口蓋腱膜の後面から起こる。最後に述べたところでは両側の筋線維が互いに連続している。この筋の線維は下方に進みながら著しく広がって咽頭の後壁に至り、ここでその一部が反対側のものと連続している。しかし大多数の線維は下方に進んで、その一部が甲状軟骨の後縁に付着し、また一部は中央の線に向かって走り、そこで甲状軟骨の下角から出ている腱性の板に終わっている。
**神経支配:**軟口蓋の諸筋のうち、口蓋帆張筋は三叉神経の第3枝、それも多くは内側翼突筋神経の枝によって支配される。口蓋帆挙筋は舌咽神経と迷走神経との枝がつくる咽頭神経叢(Plexus pharyngicus)から1枝を受ける。同じくこの神経叢から咽頭口蓋筋もその支配神経を受けている。口蓋垂筋の神経支配についてはまだ正確に知られていない。
[図78]舌尖を上方に挙げ、舌下面と口腔底を観察(9/10)左側は粘膜を剥離。
[図79]硬口蓋と軟口蓋(9/10)左側では粘膜を剥離してある。
[図80]口腔の諸壁と口峡(9/10) 口角から水平方向に頬を切断し、口を最大限に開いた状態。
[図81]上下の口蓋扁桃:概観図。
切断面は横断的で、つまり舌口蓋弓と咽頭口蓋弓に対して垂直に走っている。
[図82]頭部顔面の矢状断(上方3個の頚椎を含む)(4/5)
断面は正中面のすぐ右側を通過。鼻中隔は除去済み。
[図83]咽頭円蓋(Fornix pharyngis)と咽頭嚢(Bursa pharyngica)の下方からの視図。
[図84]顔面頭蓋、咽頭、喉頭の正中面やや外側での矢状断(6/7)
左側から見た右側断面。口唇は軽度開口状態。